年間367目(6月30本目) 

2023年公開 邦画 10位 全 61本中

通算 邦画 9,098本  洋画 7,297本 合計 16,395本

 

原作は推理小説らしいが犯人捜しでのミステリとしては

弱く。

介護の社会問題と尊厳死(安楽死)の問題、司法制度の死刑の

問題を真摯に向き合った作品であった。

まず前半での介護職の松山ケンイチの仕事ぶりと介護の現場が

リアルに描けている、松山の介護職に有能さ、認知症の老人の現状

と(介護しながら働く)娘の疲弊ぶりなどもリアルに描けている。

 

 

以降はネタバレなので、未見の人は注意

 

 

 

 

上記の通りで事件の犯人である松山はあっさりと捕まってしまうのであるが

その裁判での検事=長澤まさみと犯人=松山ケンイチの会話劇に

なるのであるがそこでの犯人側での松山のロジックと検事=長澤まさみも

追及での、介護の問題(特に認知症や自立できない老人たち)と

その家族の疲弊、自己責任と投げる国家や検事・・・

松山が言っている「案所から告発はなんも心もなく実態とは遊離している)事の

問題点。長澤が言っている尊厳死も安楽死も結局、殺人者の自己満足であり

絶対許されない、殺人=良い殺人などない。の松山も反論でのでは国家での

戦争での殺人は更に検事は極刑の告発は?と疑問を呈する。

そんな松山の冷徹にロジックの展開の魂の入った演技。

ラストでの長澤の自分の父母への心に隠した事実の松山への告白も

シーンもすごく良い。

で、残念なのは結局、判決もひっくり返らないし、どうすればいいのかは

結論がない(まあ当たり前なのですが)で、結局もやもやだけが残る。

あと、前半部分で介護職の新人役の加藤菜津があれだけ前向きで

頑張っているのに、松山の逮捕で安直に風俗嬢になっているシーンを突貫に

出しているのは説明がなさすぎだし、自暴自棄=風俗転落というのも

風俗蔑視すぎる気がする。

兎に角、松山ケンイチと長澤まさみの気持ちの入った演技と

リアル介護老人役の柄本明の演技がすばらしい。