年間167本目(3月64本目)
2019年公開 邦画 4位 全 243本中
通算 邦画 8,979本 洋画 7,218本 合計 16,197本
今泉力哉監督と言えば、監督の他の映画でもなんどもレビューで
書いた通りで、個性的で水準以上な作品が多いのであるが
「佳作未満」で「もうすぐベストテン」監督のイメージであったが
ついに(キネ旬でも)ベストテン級の佳作が登場している。
しかも、監督の「人間(恋愛)は映画のラストに向かって成長して」みたいな
性善説的な安易な結末も、日本映画にありがちなすべてが悲劇に向かっていくのでも
なく、変わらずにこじれてしまうタイプの映画のままで佳作を描けているのが
何といってもいい。
まずいいのは、最近ではTVドラマでもお茶の間の顔としても結果を出している
岸井ゆきのが、貢ぎ都合のいい女であるのに、決して悲劇のヒロインでもなく
友人(彼女の為を思って)の忠告、サポートも邪険な(結ばれない)片想いの
彼氏に暴走をしているのであるが決して不幸とも言い難い微妙な
役なのに彼女の目力で表情で彼女のロジックで演じている。
言葉とか常識では理解しにくい話を映画だから描ける作品である。
今泉映画の常連になってしっかりと女優になった元乃木坂の深川麻衣が
今泉映画では他のタイプ(引っ込み思案)の傲慢な気まぐれ女子を
女王様のように演じていて役者として彼女を使っているのが良くわかる。
今回の話は、「貢ぐ」ちゃんストーカー、アッシー、もて男(女)の傲慢など
恋愛を傲慢さも描くのであるが、どれも解決も成長もしないのが
驚異的な恋愛話になっている。
題名通りの「愛がなんだ」なのである。
今泉監督も居直って(でも描き切って)一皮むけた作品となった。