年間103本目(2月58本目) 

2018年公開 洋画 2位 全 104本中

通算 邦画 8,943本  洋画 7,189本 合計 16,132本

 

当時、アカデミー賞の演技賞も二部門もとったし、

日本でもキネ旬ベストテンのNo1にもなってかなり

評価が高かったのであるが、何故か(録画はしてあったのに)

未見のままであったのをようやく見た。

評判通りの佳作であった。

その昔から、アメリカ映画(文学でも)では、派手な大都市ではなく

田舎町でのアメリカの縮図、田舎町だからこその本音、差別が

出てくる傑作がある。「イージーライダー」しかり「ラストショー」

しかり「アメリカングラフィティ」しかり、文学でもフォークナーの

ヨクナパトーファ・サーガなども成功例である。

本作も、南部系の田舎町で、娘を惨殺された母と、その町での保守的で

捜査もままならない田舎警察の確執を描く。

そこで描かれるのは、娘の事件の捜査いうよりも、各々の自己以外を

全て排他的に考え、「すべて敵」と相手に向かう。

母親は捜査が進展しない田舎警察に、広告で、告発された警察署長の

部下で、暴力的で黒人などの弱者に暴力的であるプア・ホワイトの巡査。

互いに憎しみ合って(時には殴る放火までもする)いるアメリカの

受け入れないでハードな人間関係をリアルに描く。

この映画はそんな偏見でわがままで利己的な人間を半分以上をかけて

描き切るだけでなく、晩年のイーストウッド映画のイーストウッド自体が

保守的で堅物で人嫌いな主人公の事件による変化、「グラン・トリノ」などの

傑作があるが、本作でも、最悪な関係にまでなった(リンチ、放火など)主人公が

結局、娘の事件に向き合っていくし互いに少しだけの歩み寄りの変化を見せる

ラストが感動的であった。

アカデミー賞を取ったフランシス・マクドーマンド(母親)、サム・ロックウェル(巡査)

の二人の好演につきる。