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ヒズモのブログ

本好き、映画好き、落語好き、卓球好きのパート社員です。

映画 『ベイビー・ブローカー』(2022年、韓国、130分

監督・脚本 是枝裕和

キャスト ソン・ガンホカン・ドンウォンペ・ドゥナイ・ジウンイ・ジュヨン

 

是枝監督の映画が大好きです。今回も期待通りの味わい深い映画でありました。

 

 

映画com.の解説です。

「万引き家族」の是枝裕和監督が、「パラサイト 半地下の家族」の名優ソン・ガンホを主演に初めて手がけた韓国映画。子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていく「赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)」を介して出会った人々が織り成す物語を、オリジナル脚本で描く。古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンスには、「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があった。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づいて警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく赤ちゃんを連れ出したことを白状する。「赤ちゃんを育ててくれる家族を見つけようとしていた」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、サンヒョンとドンスを検挙するため尾行を続けていた刑事のスジンとイは、決定的な証拠をつかもうと彼らの後を追うが……。ソン・ガンホのほか、「義兄弟 SECRET REUNION」でもソンと共演したカン・ドンウォン、2009年に是枝監督の「空気人形」に主演したペ・ドゥナら韓国の実力派キャストが集結。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初の男優賞を受賞。また、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"生まれてきた赤ちゃんに幸せになってもらいたい"

 

その思いはみんな持っているのだけれど、……

 

ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン、そして子役のイム・スンス、の俳優陣、演技に見えない素晴らしい演技です。

 

おすすめです。

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

喜多川 泰 著 『株式会社タイムカプセル社』 (新版)

(2022年4月、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、定価1650円(税込)

 

喜多川泰さんの新版が出たということで早速購入して読みました。

7年前、2015年に同名の新刊が出た時に予約してわくわくして読んだことを思い出しました。7年前の私の記憶はきれいに無くなっていて、初めて読んだと同じ感動の物語を楽しむことができました。

 

 

帯にある紹介文です。

「<人生は、いつでも、何度でも、どこからでも、やり直せる。>
45歳で仕事も家族も失った英雄は、株式会社タイムカプセル社という一風変わった会社で働くことになる。未来の自分に向けて書いた手紙を、数年〜数十年後に配達することを事業とする会社だ
配属されたのは<特別配達困難者対策室>。仕事内容は、さまざまな事情で配達不能になった人たちに直接手紙を届けにいくというものだった。英雄は上司の海人とタッグを組み、2週間のうちに5通の手紙を届けるという任務につく。
大阪、北海道、東京、そしてニューヨーク。各地で手紙の受取人と出会い、それぞれの人生に触れていく中で、英雄は自分の本当の気持ちに気づいていく――」

 

著者のあとがきに「物語の中身をいくつか修正して新版として生まれ変わりました。」とありました。私の心に沁みた言葉をご紹介します。

 

夢がないっていう人は、とにかく今、目の前にあることに一生懸命になってみろ。がむしゃらに打ち込んでみろ。夢を持とうとしなくてもええから、今、目の前にいる人を笑顔にしてみようって思てみろ」(P83)

 

すべての人には、自分で苦しみや逆境から立ち直る力があるって。そして、それは出会いという奇跡によって始まるんです。」(P92)

 

「そろそろ今に生きてみませんか。いや、むずかしいのはわかっています。でも、今、ここに集中することができれば、少しずつ過去も未来も変わっていきますから」(P166)

 

過去の自分の行いは、今日の優しさ、謙虚さの源にすればいい。それがあるから、あなたは人の痛みのわかる優しい人になれたという経験にすればいい。だからといって、幸せになる資格がないっていうのはおかしい。」(P168)

 

「朝起きると息をしている。生きている。生きているってことは、きっと僕にはまだ役割があるはずだって自分に言い聞かせています。(P203)

 

底知れぬ大きさを持つ人は、底知れぬ孤独、悲しみ、苦難を経験してきている人だ。底知れぬ優しさ、許容力を持つ人は、誰よりも傷つき悩んだ人だ。」(P209)

 

誰も恨むな、人を嫌いになるな」(P219)

 

人間はみな、本人がその場にいなければその言葉が本人に届くかどうかあまり考えもせず、つい、頭の中でふと思ったことをそのままに垂れ流してしまう。そういう弱さを持っているんだよ。―(中略)-ネットの書き込みだって同じだろうよねきっと。だから、会ったこともない人に、『あなた、気持ち悪いんですけど』なんて平気で書ける。ネットにそんな書き込みをする人でも、初めて会う他人に面と向かって『笑顔が下品』とか言った経験はないはずだよ。だから、他人がどうこうじゃない。自分がそういうのを口にしない強さを持たなきゃいけないって、ただそれだけのことだ。」(P227)

 

現実に行き詰まったからこそ、理想を追うチャンスじゃないですか」(P258)

 

「出会った人は誰もが、それぞれ悩みを抱えていた。でも、過去の自分が書いた手紙と出合うことで、心の闇の中にいた彼らが、その先にある光に気づき、新しい人生を始めるきっかけを得ていた。」(P268)

 

苦しみを乗り越えれば乗り越えるほど、優しく、そして強くなれる。そしてその優しさ、強さは、周りの人たちの心に火をつける。」(P270)

 

いいことがあると、過去が変わります。人間は未来を変えることができるといいますが、過去も変わるんです。」(P274)

 

読む人のことを大切に思って書いた愛に溢れる手紙は、読む人に怒濤の如く愛を放つ。その愛が、読む人の心を打つ。」(P344)

 

「想い」を伝えるのは「言葉」ではなく「行動」だといえます。」(P353)

 

著者のあとがきに「この本が気に入ったならば、実際に十年後の自分に向けて、心を込めて手紙を書いてみるのもいいかもしれません。」とあります。 …書いてみようかな。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画 『バハールの涙』 

(2018年、フランス・ベルギー・ジョージア・スイス合作、111分)

監督 エバ・ユッソン、 脚本 エバ・ユッソン、ジャック・アコティ

キャスト ゴルシフテ・ファラハニエマニュエル・ベルコ

 

 

 

アマゾンプライムで観ました。ずっと緊張しながら観ていました。こんな不条理な現実があっていいのかと思いながら、母親の強さ、勇敢さに心打たれました。

 

 

映画com.の解説です。

「パターソン」のゴルシフテ・ファラハニが、捕虜となった息子の救出のためISと戦うこととなったクルド人女性を演じるドラマ。「青い欲動」のエバ・ウッソン監督が、自らクルド人自治区に入り、女性戦闘員たちの取材にあたって描いた。弁護士のババールは夫と息子と幸せな生活を送っていたが、ある日クルド人自治区の町でISの襲撃を受ける。襲撃により、男性は皆殺しとなり、バハールの息子は人質としてISの手に渡ってしまう。その悲劇から数カ月後、バハールはクルド人女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとして戦いの最前線にいた。そんなバハールの姿を、同じく小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける片眼の戦場記者マチルドの目を通して映し出していく。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。

 

 

 

幼い娘と離れ、クルド人部隊の取材を行う片目の戦場記者マチルド(エマニュエル・ベルコ)と、ISに襲撃され夫を殺され息子を拉致されて、息子救出の為にクルド人女性武装部隊のリーダーとして悲しみを抱えながら勇敢に戦うバハール(ゴルシフテ・ファラハニ)、ふたりを追う映像がリアルで震えがきました。

 

 

 

独立国家を持たないクルド民族とISの戦い。ISから、夫や親を虐殺され、女性は拉致され性奴隷に、子どもも拉致され戦闘員にされるという悲惨な現実が、実際に世界で起きているのが悲しい。

バハールたちが拉致収容された所からの脱出シーンやISとの戦闘シーンの緊迫度が高く、観終わって、ようやく深呼吸ができました。

 

 

 

世界には解決の糸口さえも見えない民族対立や宗教紛争、国家間の戦争があることを改めて認識した映画でありました。

 

お読みいただき、ありがとうごさいます。