齋藤 孝 著 『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』 (2020年)
フォレスト出版 定価: 1,650円(税込)
NHK大河ドラマ「青天を衝け」を楽しみに観ています。主人公の渋沢栄一という人のことをもっと知りたいと思いました。齋藤孝氏の著書であれば、分かりやすく解説してあるだろうとこの本を読むことにしました。
フォレスト出版の紹介文です。
「豊富なイラストや図とともに、「渋沢の人生」と「不朽の名作」を1冊で学ぶ
2021年にNHKの大河ドラマの主人公に、そして2024年に1万円札の肖像が渋沢栄一に変わります。
しかし、あなたはどれだけ栄一のことを知っているでしょうか?
なぜ、栄一の著書『論語と算盤』は、不朽の名作として読みつがれているのでしょうか?
栄一は「日本の資本主義の父」と呼ばれ、生涯に500もの会社の設立に関わり、資本主義(商工業)の発達に尽力して、日本の経済の礎を築いた人物。
その①生涯、②代表作『論語と算盤』、そして③歴史的な関連人物の3つの側面から、縦横に渋沢栄一を掘り下げ、図やイラストを多用してわかりやすく解説します。」
著者は「まえがき」でこう述べられます。「「大企業が事業を独占して利益を上げ、富裕層たちがお金を増やす一方で貧しい家庭が増え続けているという現状に対して」、栄一は「私はこんな未来のために働いたのではない」と言い、次のように続けたはずです。「私が行ったのは、みんながお金を少しずつ出し合って会社をつくり、そこで得た利益をみんなが受け取れるようにすることだった」」(P4)
3章構成になっています。
CHAPTER1 『論語と算盤』がもっと面白くなる渋沢栄一の人生
CHAPTER2 今だからこそ胸に刻みたい『論語と算盤』の教え
CHAPTER3 渋沢栄一の関連人物から読む『論語と算盤』
大河ドラマでの渋沢栄一の考えに共感します。栄一が精神の柱としたものが『論語』であり、「論語で一生を貫いてみせる」、「仁義道徳に基づかないと、利殖はうまくいかない」、「富は道理を得たものでならない」、「個人の富は国の富であるから、自分だけが儲かればいいという考えでは駄目だ」などの言葉を残し、常に事象に理性的に対処する姿勢、行動を知ることができました。
そして、「お金というものは、仕事の残りかすみたいなものだ」と言い、「かすばかりためていてもしょうがない」という清廉な生き方、いつも上機嫌で、にこやかに人と接して温厚な人柄だったという渋沢栄一という人物を尊敬します。現状の日本にはこういう方が必要だと思いました。
この本は、『論語と算盤』を中心に、渋沢栄一の生涯と交友を豊富な図解で分かりやすく解説されており、渋沢栄一をよく知らなかった私にはとても理解しやすい内容でした。新一万円札の肖像にぴったりの方だなと思いました。
お読みいただき、ありがとうございます。