扇谷正造氏(1913-1992)は“週刊誌の鬼”の綽名で知られたジャーナリスト。
氏の著書『自分の顔に責任をもて』(1973年 産業能率短大出版部)から、私の心に響いた言葉を引用させていただきます。
「会社とは」…「結果で勝負するところである。ということは、いいわけのきかない世界である。」
「職業とは」…「よってもって生活の糧を得るものである。-しかし、もし、それだけだったら、さびしい話じゃないか。」、「自分の可能性をためすモノである。だから、職業なんて、実は何でもいいんだ。」
「生き甲斐とは」…「ギリギリの限界まで自分の可能性をためしてみた後に、ホノボノと感ずる喜びであり、あるいは涙である。成功、失敗なんてのは二の次ぎ、三の次ぎである。」、「だが、君よ。この人生は生きるに値する。辛けりゃ、辛いなりに、な。」
「新入社員よ」…「初心とは何か?あの日の感激!OKだ。ただし、それを定年まで持続すること。」、「名刺で仕事をするな。肩書きをはずしたつき合いをせよ。ということは、小さな約束を守れということである。大きな約束はひとりで守らされる。」、「約束の15分前にはその場所に行っていよ。何といっても君は人生の一年生だからね。」
「中堅社員よ」…「70年から80年にかけての理想のビジネスマンを私は、次の三つに置く。
1.問題意識をもつ人間
2.変化に適応できる人間
3.他人の痛みのわかる人間
いろいろと、もまれてきた君のことだ。私のいう意味わかるよ、な。」、「一週間に一冊、新書版で結構。あげて行け。競輪競馬から徹夜マージャン、OKだ。ただし、毎週一冊だけはあげて行け。」、「不遇の時、逆境の時、さびしい時の君へのハナムケ。“君よ、朝の来ない夜はない”」
「定年まちよ」…「ガタガタするな。周囲をみまわし、自分の立脚点をたしかめたら、徐々に、第二の人生を考えることだ。つとめた会社ばかりが君の人生じゃない。」
「定年社員よ」…「とまれ、定年は、まわりの人達にも、そして自分にも自分を再評価させ得る絶好のチャンスだ。」
「問題意識とは」…「「待てよ」ということである。立ちどまって考えてみるということであり、すこしむずかしくいうと、原点に立ちかえって問題を洗い直してみるということである。」
「変化に適応できる人間とは」…「茶のことばでいえば、“気働き”ということである。気働きとは何か?情勢がガラッと変わった時、その変わった状況の中において、何がいちばん本質的か?ということをトッサに判断し得る能力である。」
「他人の痛みのわかる人間」…「イタミであってイタデではない。イタデ(痛手)は外傷であるが、イタミ(痛み)は、“内傷”であり、心の傷である。心の傷は“思いやり”というレンズを通してだけ見える。」
「男の顔」…「四十になったら、男は、自分の顔に責任をもて(リンカーン)」
「女の顔」…「三十までは神様が与えてくれた顔、三十すぎたら、自分でかせいだ顔(ヘレナ・ルビンシュタイン)」
扇谷氏の著書でもう一冊、1975年発行の『諸君!名刺で仕事をするな』(PHP研究所)と合わせて、私が会社人生を始めた頃に読んで、とても勉強になりました。お蔭で、定年まで勤めることができたような気がします。尚、『諸君!名刺で仕事をするな』はKindle版が入手できます。40年以上も前の著作ですが、今、読んでもビジネスマンに有用な本だと思います。おすすめです。
お読みいただき、ありがとうございます。
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