前回記事のつづきです。
瑠璃光寺(山口市)にて。
再び、特設会場の中の
秘仏、阿弥陀如来さんのところへ戻りました。
すると、中にはまた、
参拝客が誰もいませんでした。
他に誰もいなければ
特設会場がこじんまりしているおかげで
阿弥陀如来さんと自分だけの空間が
物理的に確保された状態になります。
まるで外の世界から隔離されたように。
誰も見ていないという安心感。
挙動不審になっても大丈夫。
心行くまで
阿弥陀如来さんに集中できました。
阿弥陀如来さんの前にいると
すごくありがい気持ちになって
何か唱えたくなりました。
でも私は阿弥陀如来さんの真言を
知りません。
あ、そうだ、
般若心経は、たしか、万能だよね
と思った私は
般若心経を唱えることにしました。
といっても
わずかに覚えているのは
最後のところだけ。
ところがその最後のところさえ
どうしても出てきません。
思い出せないのです。
「え？なんで？なんで？」
と焦っているときに
なんとなく…
ここで般若心経って
違う…
という気がしたのです。
なんだろう。
この違和感…。
それでも私は負けずに、
なんとか思い出して
唱えることができました。
しかし
たしかにあったあの違和感。
あれはなんなのか？
その後、ずっと気になりました。
さて私は
今回の秘仏公開で
この阿弥陀如来さんが
大大大好きになりました。
しかし実のところ、
白状してしまうと私は、
阿弥陀如来と釈迦如来の違いが
わかっていないくらいのレベルでした。
もともと仏教に疎くて
そのあたりに興味がなかったのです。
でも今回のことで
阿弥陀如来とは
どういう仏様なのか
俄然、興味がわいてきました。
帰宅して調べてみたら
阿弥陀如来は
どこの宗派でも説かれているほど
仏教では非常に重要な仏様で
天台宗・浄土宗・浄土真宗では
家庭の仏壇の本尊を
阿弥陀如来像とすることが多い
と知りました。
私の実家は浄土真宗。
仏壇の奥に仏様がえがかれています。
あの絵は！
阿弥陀如来さまだったのか！
この歳になって初めて知りました。
実家にいた頃は
ただ「ほとけさま」としか認識しておらず
それ以上知らずとも十分だったのです。
新たに気づいたのはもうひとつ。
私は子供のころからずっと
実家の仏壇に手を合わせるときは必ず
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
と唱えてきました。
そうなのです。
なむあみだぶつ
南無阿弥陀仏
ちゃんと阿弥陀さまの名前が
入っているではありませんか！
私が、瑠璃光寺の秘仏公開の
阿弥陀如来さまの前で
唱える言葉があるとしたら
その
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
だったはず！
うわ～！
なんということだ
そうだったかー
「南無阿弥陀仏」と
唱えたかったな～(泣)
誰もいない空間で
あんなに長い間向かい合っていたのに
なんで気がつかなかったかなぁ
帰りに、秘仏会場のそばに現れた黒アゲハ
私が
般若心経を唱えたときに感じた
「ここで般若心経って、違う…」の理由。
きっと
秘仏の阿弥陀如来さんは
私にこう言っていたに違いありません。
お前は小さい頃から
私の前で何百回と私の名前を呼んできた。
そのことを思い出しなさい。
大人になって覚えたお経でなくてもよい。
お前が昔から私を呼んでいるその方法で
さあ、私を呼びなさい。
帰宅したあとでしたが
私はジーンとなって
泣きそうになりました。
つづく
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