「料理界を見渡して、
紳士と呼ばるべきものが、
料理屋の主人にもせよ、
一人もいないということは、
今日の料理がどんなもので
あるかということを、
もっとも雄弁に物語る。
彼らの多くは
普通教育的の教養さえもなく、
もちろん、書物を読むでなく、
趣味を解する者などは一人もいない。
そこで今更教育しようにも
教育のしようがない。
少なくとも今日まではそうであった。
今後といえども、
おそらくそうであろう。
彼らは料理というものを、
一段下がった下等な仕事だとみずから
思い込んでいるものの如くである。」
北大路魯山人(昭和10年)