抑肝散と抑肝散加陳皮半夏と釣藤散の比較 | 病棟薬剤師&DIやん

病棟薬剤師&DIやん

医療従事者の方々向けに書いています。非医療従事者の方々はここに書いてある情報を鵜呑みにせず、必ずかかりつけ医・薬剤師等にご相談ください。

 

 

昨日に引き続き、抗認知症薬ネタです。

上の本には、「抑肝散と抑肝散加陳皮半夏と釣藤散の比較」

という項目もあります。

 

要点は、

抑肝散:

質の高いエビデンスあり

BPSD,特に陽性症状に有効

ADLの改善効果もある

抑肝散加陳皮半夏:

エビデンスは少ないが、抑肝散に陳皮と半夏が加わった処方で同様に効果が期待できる。

陳皮の成分に抗認知症作用があるともされている。

漢方医学的には陳皮・半夏は健胄・止嘔作用があり,

食欲不振や消化器症状を伴う場合に抑肝散よりよい可能性がある。
釣藤散:

脳血管性認知症に有効、という報告あり。

高血圧症,動脈硬化症,脳血管障害を合併する場合にはそれらに対する効果も期待できる。

ということです。

 

実際、コリンエステラーゼ阻害薬を開始して、

食欲低下・嘔気が出てきた患者には、

抑肝散を抑肝散加陳皮半夏に変更することで、

コリンエステラーゼ阻害薬を継続できたことがありました。