きのう。
少し離れたドラッグストアにて。
「おい!ヒロぽん!」
振り返ると懐かしいその人は
右手にトイレットペーパーをさげて、
目に涙を浮かべて立っていた。
「あ、ごめん。久しぶり。」
私は左手にさげたトイレットペーパーに
視線を落とした。
私は2年前、倒れてから
全ての友人との連絡をたってしまった。
その頃の私はどうしようもなく拗ねて、
拗れて、グチャグチャで、
こんなに呆れるほど弱虫な自分は
誰も友達でいたくないはずだ!と
全て失ってもいい!と
目の前の花々を踏んで歩いた。
完全無欠引きこもり時期を経て、
(拗ねて、怒って、憎んで、感じきって)
ようやく、
硬い氷が溶け、温かな涙が流れ、
穏やかな日々が私を迎え入れた。
不思議なことに。
それからというもの、
あちこちで懐かしい顔に再び出会うのだ。
さて。
トイレットペーパーをさげて向かい合った2人。
「なんしよん?」と友。
「トイレットペーパーを買おうと。」と私。
「元気なんか?」
「うん元気!ううん元気じゃない!
連絡せんくて、ごめんなさい!ごめんなさい!」
私は嬉しさ、申し訳なさが炸裂して、
仕事前で時間がないという友を
「これからお茶でも」と誘い、即刻断られ、
「おごらせて!トイレットペーパーを!
あ、その他も!」
「ヒロぽん相変わらずおもろいなー!」
「生活用品おごるのはじめてよ」
「おごられるのもよ」
「ラッピングしてもらおか?」
「嫌じゃわ!」
2年の空白は笑いと共に
一瞬の時間で巻き戻される。
「抱え込むんじゃないよ!頼ってよ!」
友の涙が、言葉が、手の温もりが
私の肩に降り積もる。
温かい、温かい、温かい。
生きている。
ああ、こんな嬉しいこと。
ああ、こんな幸せなこと。
「人間関係も全部断捨離する!」
と叫んでいたあの頃の愚か者な私に教えてあげたい。
それでもいいよ。
それでよかった。
どの気持ちも行動も全てyes。
愛していることに
愛されていることに
いつの日か気づくために、
それらはあったのだ。
柔らかないつもの朝の光のなか、
自分のなかの溢れんばかりの愛に気付く。
シャカリキシャリキ。
日々人間に近づいています。


