名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
レナード・ホフスタッターは
ふたりの職人、
シェルドン・クーパーと
リチャード・ヘンダーソンに
紅茶を振舞いながら
気まずさを感じていた。
・・・なんで黙ってるの?
ふたりの職人は
無言のまま紅茶を静かに
楽しみ、その間ににらみ合っていた。
レナードは早くアリスの元へ、
カウンターの中に戻りたいのに
「下がれ」とひとこと言ってくれたら
喜んで下がるのに。
やがて口を開いたのは
リチャードだった。
「おい、レナード・・・」
「は、はい!」
「おかわりをくれ・・・
それから、いちいちかしこまるな・・・
こっちが疲れる・・・」
ようやく逃げ出してきたレナードは
すぐに新しい紅茶を淹れ始めた。
「レナード!
ガツンといってやんなさいよ!!
ここはお前の居場所じゃないって!!!」
アリスが小声で
耳打ちする。
「ま、まあシェルドンと仲がいいみたいだし・・・
いずれは自分の店に戻るから・・・」
そんなアリスとレナードのやり取りを他所に
リチャードはシェルドンに語り始めた。
「貴様が・・・
あの男を共同経営者にした理由が
わかった気がする・・・」
「ほう。
面白いな。
何がわかったんだ?」
リチャードは
うんと伸びをして言った。
「どんなに美味いお菓子ができても
美味いお茶がなければ味気ないものだ・・・」
いつの間にか
少しだけ賑やかになった
林の中のお店に秋風が
吹き抜けていった。
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