20年ほど前になるのか(ネットで調べると、私が見たニューヨークの

ブルックリン美術館での「センセーション展」は1999年とある)、

ダミアン・ハーストを見た。

               そのころ、TVや新聞などで、こういった「催しもの」に

税金を使うのはいかがなものかと、美術よりは社会事件として、

連日ニューヨーク中で話題になっていた。

  

         ハーストの作品はジョーズのような巨大サメが

3つに分割されて水槽に入つていたり、

webより借用

 

牛の切り落された頭部が床に転がり、血の流れに蠅がブンブン群がり、

その凄惨な状況は、大きなガラスのケースに入っているので悪臭などしない。

それにしても、物凄い展示だった。

 

          血生臭い社会で、美術だけが、きれいごとや美しさに

どっぷり浸った世界に生きる事に対して、

リアルに社会と対峙する作家のエネルギーと表現について

社会から真正面から問題にする姿勢には驚いた。

 

          ダミアン・ハーストの前、1970年、ニューヨークを初めて訪れた時、

リチャード・セラの「ARC」のニューヨーク連邦ビルの鉄の壁に遭遇したときの記憶は

生涯ずーと心をときめかしている。

       ゆるい円弧を描き、ビル側に少し傾斜しているが、

 

 

 

基本的には76mm厚、地上3m、長さ36mという

鉄の素材そのものといったものが彫刻として評価され、購入され、

設置されていることに途方もない日本との文化の距離の違いを見た気がした。