転居の決まった柏の隣町の我孫子には
喜屋武先生の芸大で一年先輩の岩村守先生がアトリエを構えていた。
陶彫の開拓者の一人だった。
60年代、陶による全天候型の大きな作品が
日本でも試みられるようになった。
岩村先生は伝統工芸展の常連であったが、
日本現代美術展の陶彫の新たな方向性を見せていた。
玉川大学で陶芸科の教授を勤めていたこともあって、
若者に対する開襟を開いた鷹揚さにはいつも感謝だった。
奥様の曜子さんも面倒見がよかった。
大学やアルバイトで帰りが遅くなった時、
岩村先生宅にちょくちょく泊めてもらった。ありがたかった。
喜屋武先生に連れられて岩村先生を紹介された時、
一番の印象は岩村先生の学生時代の人体石膏像であった。
何体か立っていたが、
それらの表面がフィンガーペインティングのようなタッチで
全体が覆われているのである。
どろんこ相撲のような粘土に対し、
格闘技に挑んでいるような感じがした。
それにしても岩村先生は150㎝程の小柄で、
もてるエネルギーを精一杯に
肉体と手を使って表現をするダイナミズムが直に伝わってきた。
彫刻とは創作などという以前に、
全身を使った格闘技なのだと知った。
樋口正一郎展 2010年4月/Shonandai My Galleryにご来場の
岩村守・曜子ご夫妻 後・左側の作品/四角の宇宙が回る。右/宇宙を回す力2010
ワイフがいつも楽しみにしていた岩村家の庭



