昔、はじめてロサンゼルスを訪れたとき、

ダウンタウンの映画館の並ぶブロードウェイを歩いた。その時の光景はここがアメリカかと思った

1970年にニューヨークをはじめ東部の街々を歩いていたが、

1986年頃からアメリカ全土の取材を始めていた)

白人はほとんどいず、ここはメキシコかと驚いた印象が強烈だった

 

      また、ロサンゼルス暴動(1992年4月末~5月初め)数日後、

たまたま日程で(4月~5月はニューヨーク、ボストン後、

「日経アントロポス」記事取材のため西海岸へ)訪れてしまった時、

鹿島建設の森本さんからパーティを自宅でするのでとのお誘いがあった。

 

        ダウンタウンのメインの信号で5時にということで

ピックアップしてくれるというので待った。

この時の会話は「何が起こるか分からないから、車を停めることができない」、

ましてや「待つなどできない」というもの。

映画「クラッシュ」を観て、いまさらながら、なるほどと思った。

 

         映画では、暴動の中心地、コリアンタウンのライフルやガンを使った

市街戦の「実況放送」がTVで流れていた。

人種の坩堝と思想や習慣の違いと差別や貧困の歴史の中で、ギリギリ切羽詰まった状況、

いつ切れ、爆発してもおかしくないストーリー。

 

      7組の様々な職業や人種のそれぞれの悩みや差別が交錯しながら、

人生の破滅に向かうほどの怒りが頂点に達するだけではない。

本来、差別的人間とか性悪説の化身そのもと思える人も、ラッキー天使に救われ、

また人は性善説なのだと思える世界はやっとバランスを保っているのだろう。

 

        森本さん宅でのパーティ後、皆にワッツタワーを見に行くと話したら。

それだけは皆に迷惑がかかるから止めてくれと懇願された。

無知と無鉄砲さで行ってしまった。「クラッシュ」を観て、恐ろしくなったのは言うまでもない。