初めてボーダーを経験したのは1970年9月、
ニューヨークのケネディー空港のイミグレーションだった。
そして、西海岸のLAにもよく行き滞在した時よく訪れたのは、メキシコ。
そして行きはよいよい帰りは怖いで、ティファナからサンデシエゴに再入国するときの
長蛇の列と審査にはうんざりしたものだった。今はもっと厳しくなっているのだろうか。
ヨーロッパでEU統合が進むにつれて、
国境がどんなに変化するのが興味があった。その最大のものがベルリンの壁であった。
ハノーバーから列車で東独の中をベルリンに向かってほとんど森林を突き進む。
所どころに監視塔が立っているのを見ただけで、
そしてパスポートチェックのカーキ色の制服を着た担当官の出現には、
映画のシーンとダブって内心に恐怖を抱えた乗客になってしまった。
自作品 ドローイング 「ボーダー」 2021
ベルリン中央駅であったツォー駅には、
世界中から「ベルリンの壁」の崩壊と時代の瓦解の、
その瞬間を実感したい人々が駅構内を歩けないほどに寝たり起きたり、
昭和25、6年頃の上野駅という感じがした。
そして電車に乗っても、緊張したのはポツダム駅など、
20世紀そして第二次大戦の恐ろしい記憶の中心であり、
映画「大脱走」のアッテンポロー扮するビックXと連れだって脱走した
語学の達人マックがつい気の緩みで「サンキュー」と答えてしまうような、
ナチの空気が染み込んだ冷たい空気を感じた。
自作品 ドローイング 「宇宙の防人」 2021
人間の自由とか尊厳とかを全く無視したナチズムのベルリンの空気感とは正反対の、
スイス、バーゼルはフランス、ドイツ、スイスの三ケ国のどこが国境か分からない狭間にある都市。
市や国が入り組んでいて、境界があってなしが如くの都市もあるのだ。
フランク・ゲーリーのヴィットラ家具のデザイン・ミュージアムが注目されていたし、