日本がなぜ漂流を続けているのかという問いには、

向かう目標、目的、何のため働くのかという理念が無いからだと答える。

そこには、国民も太平洋戦争で負けた後、

いつまでたっても経済復興主義が自縄自縛となって、

展望のない低迷を続けることを不思議とは思わない社会になっている。

 

          ある見方では、日本は自由を謳歌できる国と言われるが、

反対に新しい発想は無いから、半世紀近く低迷しているのだ。

自由な発想がないのは、自由がないからか、

つまり自由な発想ができない不自由な国、だから創造的でない国。

言われれば成程という感じがする

 

          さて、本題に戻って、漂流は殆どの場合、

不可抗力の力によってコントロールを失うことだろう。

 

         今回紹介自作品は、衣料の端切れ、カーテンやシーツなどを

樋口正一郎 漂流  2021

 

樋口正一郎 漂流部分  2021

 

パネルに接着剤で貼った。具体的素材の方が単純にリアリティが出ると思った。

その上からアクリル絵具を塗り、物性を少し抑えた。

しかし、漂流の勢いと破壊力を持ったカオスをいかに待ったをかけるのかの表現で、

板の井桁状の格子で漂流にストップを掛けられないかと考えた。

もちろん決意と強さを自由な生き方や

思想が自由に出入りできる表現を考えた。オゾン層のようなものだ。