かつて青森大学社会学部観光学科では
観光の構成要素として都市には何が必要か。
余暇開発センター主幹で、日本にレジャー論を推進してきた松田義幸さんが、
青森大学理事長の木村正枝さんとの話し合いで、青森を観光立県にするべく、
その中核に青森大学に観光学科を新設するという経緯で私に声がかかった。
(1994~2000)
当時、年の4分の一から3分の一を世界中を回っていた頃である。
それまでの専門学校や大学、企業でのレクチャーは
主に、パブリックアートを中心に都市の中のアートの役割、傾向、動きなどだった。
観光学科では都市の魅力を自然や民族の歴史そして文化的蓄積、
政治体制など、国や社会のアイデンティティを幅広く考えることなどが必要になった
他でもいくつかの大学で非常勤講師をやっていたが、
学生にとっては当面の資格取得や成績やアルバイトなどで
広く社会や将来展望などを踏まえて、自分を成長させるプログラを考える時間はなく、
都市環境に対する幅広い講座は成績や人生には役に立たないと思われていたのだろう。
おざなりのレポートが多かった。
野心や野望といったエネルギーをどんな形で自己実現を目指しているのか、
ネガティブな興味も少し感じていた。
しかし、カルチャーセンターでは、人生の様々な経験と生活と環境を経た
少し女性の方が多い中高年の男女を中心に、
熱心に世界の都市の映像を見入っている。
日本では、消費財、耐久消費財など車くらいは選ぶことが可能だが、
都市環境、住宅環境といったものに、自然や文化、交通などを加えた総合的な選択は難しい。
以前は、アトリエのあるつくばみらい市で自主的に初めて10回ほど、
都心の飯田橋で3回、恵比寿読売カルチャーでは2年で20回ほど。
その他、都心や那覇市での設計事務所、横須賀市で各一回、
また三鷹市の生涯学習課で一月で3回の集中講座をやってきており、
今月からは月一回第一土曜日に、
つくば市洞峰公園内にあるUR(筑波都市株式会社)のカルチャー教室で始めることになった。
つくば市は1985年の科学万博でつくられた新都市に
TX線が開通(2005年)し、つくば駅から秋葉原駅への特急で45分間の各駅周辺は
ショッピングモールやマンション群が建ち並び、
まさに21世紀型の新都市として、
世界の都市をリードするサンプル、目標になるテーマと都市づくりを表現することができるか。
つくば研究学園都市の自然環境を代表する洞峰公園で、
文化をいかに蓄積し成熟させてゆけるか、参加者の皆さんと可能性を考えてみたい。