国土地理院で開催中(2021年3月23日~6月27日)の地図と測量の科学企画展

「一等三角点物語 ~国土の把握に懸けた測量技師の物語~」を見た。

       またDVDで映画岡田准一主演「天地明察」では、

日本全土を脚と眼でプリミティブな道具を使って計測するパワーには感動した。

 

     アトリエから200mほどのところに間宮林蔵の生家と記念館があり、

私も昔から地図には興味もあって、地図の作品もつくっていた。

 

     作品写真は銀座のギン画廊で吉村益信さんとの2人展

「大日本国土開発展」(1973年)で展示したもの

オニヒトデのような形態の作品は国土地理院発行の300万分の一日本全図を

10m/m角に切り、全体が丸く、海岸線が繋がり、

 

地名など文字が読めるように平行移動させ、一種のだまし絵風のリアリティを求めた。

     もう一方の四角の作品は日本海を真ん中に置き、

人工的で機能的な開発で生きる国を象徴してる。

丸の方は思っていた以上に海岸線が長く半島や岬だらけになり、

当時話題になっていた珊瑚礁を食いあらすオニヒトデのような恰好になり、

貿易摩擦を世界中で起こす日本のようで、

我が意を得たりとほくそ笑んだこともあった。

 

    作品はギン画廊での展示の前に、

西武美術館のアール・ヴィヴァンに置いてもらい、

美術館を訪れた電通の油谷勝海さんの目に留まり、

電通主催の学生広告論文コンクールのポスターに採用され

社会的参加ができたことは大きな成果だった。

大学生用に丸ん丸な日本が、四角な日本は高校生用にデザインされた。

電通主催 学生広告論文募集ポスター 左:大学生用 右:高校生用

 

     生きること、表現することの目的や目標に対するどんなアプローチがあるのか、

方向や条件を考える上で、まず、自分の立ち位置を決めなくてはならない。

つまり、様々な地図を描きながら、状況ごとに地図を選び手を加える。

 

     しかし、今の時代、世界はあまりに流動的で破壊的であり、

自己の目標設定は難しい。

自己のコントロールが効かなく、付和雷同するか、

津波に押し流されるような状況は、今こそ、人間の向かうべき道と地図を築くべきだろう。