米田さん、日出子さんと3人で、長年待ち望んでいた
大谷石の採石場跡地、地下大空間を見に行った。
60年代、未知の世界の探検ブームでの
地球空洞説はスケールの大きさと取りつくしまなさで、
好奇心に油を注がれた一人だった。
北極に出入り口の穴があって、上空にはいつも雲がかかり、
衛星やら航空写真は撮れず、穴の位置や内部を窺うことができず、
なぞは謎を呼ぶというわけだ。
後年、埼玉県春日部にできた、
荒川の巨大「首都圏外郭放水路・庄和排水機場」を見たときは、
その大きさに驚いた。
地下22mに177mx78mの大きさの空間を、
重さは500トン、高さ18mの列柱59本が支えている。
水のないカラ(空)の無限とも思える容積とは反対に、
なぜか息苦しさを感じた。四角のマッス(塊)が圧力となって迫るためなのか。
この庄和排水機場を見た数年前には、
トルコ、イスタンブール市内で東ローマ帝国が築いたという、イエレバタン地下貯水池を見た。
コリント式列柱群とその足下にはメデユーサの頭部の彫刻され、
文明というより、古代ローマ帝国文化の巨大記念碑。
自然をコントロールし、共存するための、その熱い征服欲に凄さを見た
(2002年に訪れポジフィルムをデジタルに変換していないため借用)
産業遺産としての機械化する以前の人力に頼る、
辛い労働のイメージから暗い中を歩いていると、
ずーとイメージしてきた大谷の地下都市や地下空間の存在などどこか忘れてしまった。
大谷石は建築の構造材には不適で、
かつての、日比谷の帝国ホテルにフランク・ロイド・ライトが装飾材として使用し、
一世を風靡した。その面影は岐阜県犬山の明治村に見ることができる。