ジャウメ・プレンサがなぜ現在のような
柔和な微笑を浮かべる顔を表現するようになったのか。
前回バルセロナのフランセス・ライレット広場の作品のように、
耐える限界に達し、爆発し、あらゆる事物を破壊するような激しい表現から、
180度方向転換した原因や意図がなんだったのかずーと気になっていた。
スペイン中央政府のマドリード、
ゲルニカで知られるバスク独立運動の中心サンセバスチャンそして、
今も独立を巡ってくすぶるカタルーニャのバルセロナの3都市の中心に位置する
サラゴサで開催された2008年のサラゴサ万博。
メイン会場脇につくられたのが、
厚い鉄板を切り抜いたアルファベットをつなぎ合わせ、
レースの編み物状に立て膝で座る人物像「エブロの心」だった。
(c)s.higuchi
立て膝の間の開口部で、世界中からの観光客が出入りしたに違いない。
まず思ったのは、サンチャゴコンポステーラへの巡礼の道でもある
サラゴサで、マリヤ像に抱かれながら、内側から文字を通し世界を見る、
会話をするという表現だろうと思った。
(c)s.higuchi
(c)s.higuchi
ここでは顔の部分はつくられていないが、その後の作品では、
女性の微笑んだ頭部をゴムで垂直方向に細く伸ばしたような
ニューヨーク、マディソンスクエアパークの期間限定で設置された作品(2011年)
の表現の延長に
シカゴのミレニアムパークの作品「クラウン噴水」はある。(次回へ)