高杉良「広報室沈黙す」読了しました
 何人かの人から薦められてはいたのですが、小説って、リアリティの欠如が読む気をそぐことに直結するので、自分の仕事周りのフィクションはあまり読む気がせず、手に取っていませんでした。以前の帰国時に、たまたま空港で手にして購入したのですが、なんてことはない、読み始めたら非常に面白くて、二日で読んでしまいましたwww これは本当に取材が良くされているというか、メディアの視点、広報の視点、企業内部の視点など本当に良く書けている。秀作ですね。ワタシ的には、特に今、日系企業の広報コンサルをしているだけにそれがよくわかる。

一方で感じる、違和感
 しかしながらこの作品、1984年の作品なんですよね。となると、PRの視点から見たときに、ここまで広報の現場は30年前と変わらないのか、というような気持ちも生まれる。「抜き抜かれ」だの「広告で黙らせとけ」だの・・・その意味では、消費者がペンを持った今(ブログだのtwitterだの、いわゆるソーシャルメディアね)、まさに激変の最中にあると言え、この小説を読んで「いつの時代のハナシ?」と思う広報マンが出て来るのだろうか。それが良いことなのか、悪いことなのか、正直まだすぐに咀嚼しきれていないのだけど。
人材、大!募集中です
 先日、社内で駐在員募集の告知を出しました。4年前から始まった駐在員派遣ですが、毎年1名を送り込み、今だ帰任した者は居ませんのでw 会社の成長と共に、ポストが純増している状況です。いい感じです。さて、やっと社内オフィシャルに告知出来たので、是非応募してもらいたいと思い、twitterで「 @hf_jp そういえば、駐在員追加募集の告知を出しました。応募には経験問いません。ゼロからでも教えます!そのかわり、絶対にあきらめない気合いと、達成してやるというコミットを。 」とつぶやいたら、なんと社外の方から、複数のコンタクトを受けてしまいました。今や、中国のキャリアは魅力的なものなんだな、と。

何をして【駐在】なのか
 しかし、駐在員派遣に社外からでも応募可能なの?と言われたら、やはり原則NOとなりますね。中国法人の私の立場で言えば、現地採用の問題含めた雇用の公平性に問題をきたすものと考えます。しかし逆に、社内で得られるよりも能力の高い社外からの応募に対して、フラットな視点でどちらが欲しいかと言えば・・・という問題です。駐在員って何なの?と考えてしまいました。調べてみたのですが、他社さんでは、駐在を条件に採用して、しばらく日本で働かせてから派遣する、というパターンもあるそうです。

トビラはひとつではない
 しかしながら、中国の経営に責任を持つものとしては、採用は現在の最重要課題。とにかくあらゆる可能性を否定しません。人材は競争力に直結します。こういうサイトにちゃんとアンテナ張っているってコトだって、我々の仕事を考えれば、重要なポイントです。ってことで、改めて欲しい人材について・・・
・PR業界経験者(もしくは広告/イベント等のキャリア)が好ましいです
・中国語可ならなお良し
・年齢は不問、ただし3年くらいは、中国で腰を落ち着けて仕事して欲しい
上記は希望条件であって、必須条件ではありません。それよりも私が重要視しているのは
・高い成長意欲とコミットメント、セルフスターター
・そしてなにより、仕事が好きなこと!
ということですかね。興味がある人はご連絡下さいまし!前例を打ち破るぐらいの人材じゃないと、この激しい競争の中、突き抜けられないじゃない!!
「人事」の仕事への興味
 少し前のことだが「サイバーエージェント流 成長するしかけ」を読了した。CA社の取締役人事本部長である曽山氏が自ら、CA社の成長を支える様々な施策を背景とともに綴ったもの。大変参考になるとともに、非常に刺激を受けた。自分が直面する現状になぞらえ、色々と思うことがあった。と同時に、自分のキャリア形成を考えた場合(40歳でマネジメントになるというのが1つのマイルストーン)、早めに人事や経理などの間接業務で「KPIを持ち」目標達成に努力するという環境に身を置きたいと思った。

トップセールスを管理部門へ転籍させる決断
 しかしやはり同著で最も感銘を受けたのは、曽山氏の手腕もさることながら、同社社長の藤田氏の経営者としての意識と能力である。「会社の財産は人だ」ということを言う経営者は多い。また、会社の競争力に「人財」を挙げる経営者も多いが、同社のようにトップセールスを間接部門にアサインするのは、なかなか出来ることではないはず。人材重視を謳いながら、人事制度は後回しになる、というのは中小企業では一般的なことだろう。

「この組織なら、何をやっても成功する」
 今、手元に本が無い(後輩駐在員に課題図書として献本)ため、正確な記述を出来ないが、本の最後部で、曽山氏と藤田氏が対談形式で綴る中に「この組織(CA社)ならラーメン屋をやっても成功する自信がある」というようなことを発言していた。この部分、非常に刺さった。私自身、PRという仕事ではなくとも、他の仕事をやっていたとしてもそれなりに成果を出せるだろうと思う。その理由は「考えることを諦めない」からだ。「失敗しても、成功しても、現状に甘んじること無く改善を志向する」からだ。「上昇志向が途切れない」からだ。しかしそれは、自身に対する自信だけであり、組織に対する自信ではない。この差は残念ながら大きい。こんな風に胸を張って言えるようになりたいものだ、と嫉妬すら覚えた。