遊佐未森「ふたりの記憶(Man&Iron)」 | へーさんのCD棚~リサイクルマークはエコマーク

へーさんのCD棚~リサイクルマークはエコマーク

持っているCDの中で、あ、いいなという曲(たぶんアイドルポップスがメインになると思います。)をのんびり書いていこうと思います。

ども。へーさんです。彼岸が過ぎたら急に気温が下がりまして、あんなに長く咲いていた百日紅も花が終わっていました。平日の朝起きる頃はまだ薄暗いし、このままあっという間に冬になっていくのでしょうか。そんな所で1634曲目。








遊佐未森「ふたりの記憶(Man&Iron)」

画像は収録の『ハルモニオデオン』




独自の世界観で、80年代から現在まで長く活動している遊佐さんの、3枚目のアルバム収録曲。




この曲は、ある飛行機乗りの物語を描いています。Man&IronのManは彼の事ですが、もう一つIronは彼の飛行機の右の翼の物語になります。彼が缶蹴りして遊んだ子供の頃を思い出した時、飛行機の右の翼は♪蹴られて転がった 草むらの夕暮れを~ 思い出しています。子供時代に彼が蹴っていた缶が転生した姿だったのです。




さらに時が流れて、飛行機乗りと右の翼は年老いた男と彼が作ったロボットになっていて、それぞれが自由に空を駆け巡った頃を回想して歌は終わります。




こう書くと、時の流れは止める事はできないし、それをやや後ろ向きに振り返っている歌のようです。でもそれだけではありません。人(Man)は老いていってしまいますが、鉄(Iron)が缶→飛行機→ロボットと生まれ変わっていったように、人も生まれ変わるという、輪廻転生を強く思い起こさせる歌でもあります。




さらにもう一つ、どの場面にも出てくる“草”(♪下に続く草原を~ ♪同じ草が揺れてた~ ♪草が揺れる丘の上~ )は、確かにその草は同じ一個体ではありませんが、同じ場所に代を重ねて連綿と続いていて、ここからも輪廻を感じさせます。わざわざ“同じ草”と言っている事からも、輪廻を意識したメッセージなのだと思います。




そんな幻想的で少しノスタルジックな物語を、雄大で伸びやかなメロディに少しの切なさを載せて、メロディラインでも表現しています。♪飛行機乗りの~ のメロディのふとした切なさは、さざ波のように心を震わせます。




そしてその伸びやかさを生かすように、遊佐さんの高音ボーカルも美しく伸びています。サビは高音が続くメロディですが、キンキンと聞き苦しくなくたおやかに響いています。そんな高音の魅力を十二分に堪能できる曲です。




物語性及び幻想性が強い曲なので、爆発的なキャッチーさはない部分もあり、アルバム内の一曲という位置付けになっていると思われますが、シングルになってもおかしくないクオリティーの曲だと思います。




「ふたりの記憶(Man&Iron)」遊佐未森


作詞:工藤順子

作曲:外間隆史

編曲:外間隆史/中原信雄