30億の多世代交流健康増進拠点施設(市民温泉)建設に反対 〜山口市2019年度予算〜 | 山口市議会議員 へや翔大35歳

山口市議会議員 へや翔大35歳

山口市議会議員です。 今年で35歳。
プロフィール詳細(https://ameblo.jp/heya-shota/entry-12642822667.html)
28歳初当選。31歳二期目当選。35歳三期目当選。
女子中学軟式野球山口ガールズ代表。
山口三十路祭り初代発起人。
就労継続支援B型事業所理事

30億円の多世代交流健康増進拠点施設(市民温泉)建設に反対
 
 2019年度山口市予算にタイトルの施設建設の計画策定費が計上されておりましたが、個人的には大反対でございまして、議会で発言させてもらいました。詳細は動画や反対理由を以下に添付いたしますのでご興味のある方は是非御覧ください。
 
議会での動画(個人質問時に多世代に突っ込んでます)
1回目(6分44秒) http://cstream.c-able.ne.jp/yamaguchi-gikai/h31-1-2-2019022506-HD_0101.htm
再質問(34秒) http://cstream.c-able.ne.jp/yamaguchi-gikai/h31-1-2-2019022506-HD_0103.htm
再々質問(54秒) http://cstream.c-able.ne.jp/yamaguchi-gikai/h31-1-2-2019022506-HD_0105.htm
 
反対理由(最終日に会派として討論)
平成31年度予算の重点プロジェクト1 魅力あふれる県都づくり「広域県央中核都市づくり」の中で、新規事業として、「多世代交流・健康増進拠点施設整備事業」として、基本計画の策定や用地取得の経費として、2千310万円が計上されています。
 
当該施設については、「温泉資源を活用した豊かな暮らしと交流の拠点」を、約30億円をかけて、湯田地域に整備されようとするものです。整備予定地には、現在、老人憩の家「寿泉荘」や、「児童文化センター」などの公の施設があります。そうした公共施設の機能の更新や現状維持、廃止などの対応方針が、整備基本構想案に盛り込まれています。現在示されているものが、基本構想案という段階のものでもあり、サービスの内容を含め、施設に関する詳細は、今年度の基本計画の策定を待たなければ、明確にはなりませんが、約30億円をかけて、児童文化センターは解体し、その機能を廃止する方向であること、寿泉荘は多世代交流型の温浴施設として更新する方向であること等は、読み取ることができます。今後、当該施設の整備を進めるにあたっては、今から言及する課題について、是非とも議論され、今後ご検討頂きたいと考えます。
 
 1点目として、温泉施設整備が、公共サービスとして必要なのかという点です。かつては、自宅にお風呂がない家庭が多くありました。そうした時代であれば、公衆衛生などの理由もあったかと思いますが、今の時代、公共サービスとして必要だとは思えないのです。この議論を突き詰めていくと、市民の趣味嗜好の部分に入ると考えます。こうした趣味嗜好の実現によって、市民の満足度を上げるという理論に立つならば、映画館を行政で作る。ゲームセンターを作るといったことと同じではないのかと考えるところです。
 
2点目として、月に1回以上湯田温泉を利用する方が13%しかおられない。そのために、温泉施設を整備して、来ていただくということですが、果たして、行政が、施設を整備したからといって、需要が創造され、利用者が増えるのかという点です。すでに、一定程度、民間が施設を持っている中で、何故、行政が、新たな施設整備に手を出すのか、そのロジックが乏しいと感じています。
 
 民間の発想に立つと、需要がないならやらないという発想が普通です。もしくは、顧客満足度を高めて、利用回数を増やすという事が王道でもあります。であれば、民間温泉施設利用時の市民割引制度作る、民間が行う温泉施設整備に助成をするなど、まずは湯田地域の温泉施設関係者と、十分な協議を行ってから始めるべきであると考えます。
 
3点目は、現在銭湯などの、いわゆる浴槽のみの施設は減少傾向にあり、かつて全国に1万4千軒程度あった銭湯は現在3千900軒程度、今伸びているのは、スーパー銭湯のように、浴槽だけではなく様々なエンターテイメント、レジャーを楽しめる施設であり、1985年から2倍以上に数を伸ばしており、現在2万軒を超えているそうです。
 
 つまり顧客の満足するサービスを提供すれば、利用者は増えるということです。その市民ではなく、顧客の満足を上げるということを、様々なルールで、縛りのある行政には実現が難しいと考えます。また、そんな市民温泉、銭湯という、斜陽産業に税金を投入して、参入するというリスクを市民に負わせるということも、大きな懸念として残ります。
 
4点目は、国・県・市町村が整備した施設によくみられるのが、一旦施設を行政が作ってしまったら、なかなか後戻りができないという点です。失敗と判断するまで、場合によっては、失敗したと分かってからも、相当の投資をしてしまい、簡単にやめるわけには行かず、赤字補填などを続けてしまうといった、負のスパイラルに陥るといった施設経営を行ってしまっているものが、全国的にあるのではないでしょうか。また、施設を廃止したとしても、その手続きや経費が膨大なものになります。初期投資の大きい、小さいだけでなく、その後の管理運営にも相当の経費が必要です。願成就温泉施設が良いか悪いかは別にしても、平成31年度の当初予算で、4千万円もの整備補修費が計上されています。つまりハードがあると潰せず、毎年の管理運営費だけでなく、更新費用が市民に半永久的にのしかかってくるのです。
 
5点目は、市民温泉であるならば、市民温泉と明示すべきという点です。助成金の有無や政治的配慮などを色々詰め込むと、コンセプトがブレてしまい、結局、何の施設なのかということになりかねないと考えます。現時点での施設名称は、「多世代交流・健康増進拠点施設」となっています。多世代が交流する、健康増進を図るなど、詰め込みすぎの感が、否めません。
 
6点目として、先ほども若干触れましたが、この問題の本質は、建てる時は、交付金や交付税といった財政支援措置などで、一般財源の圧縮にが実現したとしても、その後の維持管理に、大きな経費が必要となる、その財源が利用料だけでは賄えないという、維持管理費の問題が生じかねないという点です。同種の温泉施設への平成31年度の当初予算における管理運営費をみると、島地温泉は、1千377万円、願成就温泉は、1千474万円、また足湯の湯田温泉回遊拠点施設は、3千581万円もの税金投入がされる予定となっています。計画を聞く限り、それ以上に大型な施設で、多機能施設になることを考えると、維持管理費は、相当な額になるのではないかと懸念しています。今後の人口減少や、それに伴う歳入の減少が予想される中で、これ以上、将来への負担を増やすことは、賢明ではないと考えます。現在、山口市が人口ビジョンで提示されている出生率や社会増は、あくまでも理想であり、達成出来る見込みが、担保されていない中で、新たな負担に踏み切るのはリスクが大きすぎると言わざるを得ません。
 
縷々申し上げましたが、最後に、我々議員も様々なものを行政に対して求めます。しかし、行政資源や資金は有限です。そうであるならば、削るべきところは削る、切るべきところは切るという気概を持って、今後も議会に望みたいと考えます。基本計画策定以降の様々な場面で、機会をとらえ、しっかりと意見反映をさせていただくことを申し上げまして、討論とさせていただきます。