菅直人首相と中国の温家宝首相の会談は29日夜になって中国側が会談を拒否するという異例の事態となった。政府・与党からは「会って話すことを否定するのは理解しがたい」(枝野幸男民主党幹事長代理)との反発もおきている。

[フォト]中国の温家宝首相を見つめる菅直人首相

 「分からない。分からない」

 日本政府高官は29日夜、中国側が首脳会談見送りを発表したことを受け、困惑した表情を浮かべた。

 前原誠司外相は29日午前の楊潔●外相との会談後、記者団に「首脳会談はハノイで行われる」と楽観的な見通しを語っていた。福山哲郎官房副長官によると、外相会談の雰囲気は「良かった」という。実際、いったんは29日午後6時半(日本時間同日午後8時半)に会談は設定され、日本側は発表したが、直後に中止との連絡があった。ブランド激安市場

 外務省筋は「27日の日米外相会談を批判するなど、中国側の批判には言いがかりが多い。それでは中国は30日のクリントン米国務長官と戴秉国国務委員(副首相級)の会談も中止するのか」とあきれ顔で話す。

 もっとも、会談実現に「前のめり状態」となっていた首相には誤算となった。首相は温首相との会談を日中関係改善の足がかりとし、11月に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた胡錦濤国家主席との会談につなげたいと考えていた。中国側が会談を拒否したことで、胡主席の訪日時の日中首脳会談は不透明となった。日本側としては引き続き実現を求める方針だが、今回の会談中止の理由が「中国国内の事情」(政府高官)とみられるだけに見通しはたっていない。

 この日、首脳会談実現に向け緊張感を漂わせていた事務方とは対照的に菅首相は日中友好ムードを強調していた。日ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議ではこう胸を張った。

 「(尖閣諸島沖での)漁船衝突事件で緊張する局面があったが、日中関係の大局に立ち冷静に対処した。日中両国は戦略的互恵関係の推進で一致している」

 首相の言葉とは裏腹に会談が実現しなかったことは、悪化した日中関係の改善が容易でないことを浮き彫りにした。うわべだけの「戦略的互恵関係」を高らかに訴え、仙谷由人官房長官直伝の「しなやかでしたたかな柳腰外交」のはずが、首相は最後まで中国の手のひらの上で踊らされていた。(ハノイ 坂井広志)

●=簾の广を厂に、兼を虎に

29日の東京株式市場は円高警戒感やアジア株安から売り優勢で始まった。後場寄りの日経平均株価は前日比183.17円安の9182.86円と再び9200円割れで始まった。前引けは171.78円安だった。昼休み中にドル・円が80円53銭まで円高が進んだほか激安ブランド直営店 上海総合指数が続落基調で推移している。ユーロ・円も111円89銭と112円割れとなった。(編集担当:佐藤弘)