片蔭や今では誰も知らぬこと
わさびだけ残る小皿や水無月尽
炎昼や埴輪の眼玉天を指す
花氷来てはいけない人を待つ
風死すや絶島を成す珊瑚礁
夕凪や海へと還る玉手箱
自分のかたち覚えておけと氷菓子
ハットより鳩まかり出て梅雨明ける
世界には七千言語秋を待つ
雨音を十七選び合歓の花
日盛やテンペラ画より鶏孵る
片かげりあのこがいなくなればいい
喧嘩する相手に不足合歓の花
一晩で見違えるほど送り梅雨
マネキンを無惨に運ぶ土用東風
雲海のへそに乗っかる熱気球