福島第一原発で作業員が多量の放射線を浴びた。 最初にそのニュースを聞いたときには、「ああ、ついに被爆者が出たか、作業員は正に決死隊だな」などと思った。 でもその後の報道を見聞きして正直あきれてしまった。 防護服もまとわず、水溜りに普通の靴で入り込んで、結果その水が高い放射能を含んでいたため被爆した。
ちょっと待って。 いくら原子炉の入っている建屋ではなくて、タービン室だとはいえ、30キロ圏外まで退避勧告を出し、あの白煙、黒煙を上げている福島原発で、ろくな防護の準備もせずに作業をしていたというのか。 1999年に茨城県東海村で、ひしゃくを使った手作業の核燃料加工中に臨界事故を起こし、2人が死亡、600人以上が被爆した、あの思わず耳を疑った原子力事故から何も学んでいないのか。 日本が技術大国だの、技術最先端国家だの、といった日本を形容する言葉が、すべて吹き飛んでしまったと言ってもいいくらい、愚かで、嘆かわしいあの事故から。
被爆したのは大手施工会社、関電工の社員2人とその関連会社社員1人。 彼らが勝手にその装備で作業をしたのか、 東電がそうさせたのかわからないけど、そんなことってありえるのか。 大体作業するその作業員自身がそんな環境で作業することに不安も何も感じなかったんだろうか。
原子力安全保安院も相変わらず他人事のような会見だ。 政府からは誰も現場に出向いていなかったわけだ。 役人である彼らは、それが彼らの仕事であり、責任であるとは考えず、危険な現場に出向くことなく、遠くからにらみを利かせていればいい。 問題が起きたら必要な措置をとればいいと思っているのだろう。 東電の会見も、前日には水は無かった。 前日はそんなに高い放射線は測定されなかった。 などと繰り返すばかりだ。 事故の現場で、しかも状況が刻々と変わる進行中の事故現場で、前日には無かった、とか、前日にはもっと低かった、とかいうだけで当日の状況を決め付けることなど常識ではありえない。
安全管理の徹底を指導した、とか、なぜこんなことになったのか確認中、とか保安院や東電は言っている。 まるで被爆した作業員の過ち、のような言い方だ。 私の勝手な想像だけど、彼らに責任をなすりつけて終わらせるつもりだろう。 報道によると被爆した作業員は20歳台から30歳台だそうだ。 もちろん仕事として責任を全うする覚悟で作業に当たっていたと思う。 もしかしたら家族がいるかもしれない、将来会社を代表するベテランになるかもしれない、そんな若い社員を守りもせず、会社に都合のいいように扱い、責任を押し付け、自分たちは安泰でいられるようなことがもし今でもまかり通るとしたら、日本は本当に堕落した国家となっている。

