カリフォルニア州にも原発がある。 一番近いのはロサンゼルスから約120キロほど南の、オレンジ郡とサンディエゴ郡の境目にあるサン・オノフレ原発。 海岸沿いにあり、近くのビーチはサーフィンでも有名だ。 でもキャンプ・ペンデルトン海兵隊基地の近くでもあって、民家はすぐそばには無い。 一番近い町は高級住宅街のサン・クレメンテで約10キロくらい北側にある。
昨日、ここの原発で事故が発生した、という想定のもと模擬訓練があった。 これらの訓練は2年毎に行われている。 訓練といっても、住民も参加して実際に避難したり、原発の施設に放水したりするわけではない。 今回の訓練は、発電所を運営する電力会社と連邦政府、州政府、他各自治体が共同で事故にどう対処していくかを検証する。 具体的にどういうものかというと、現場から40キロほど離れた電力会社の倉庫を共同会見場と設定、ここで、まず電力会社の担当者が2基あるうちの2号機でタービンに故障が発生、放射能漏れを引き起こす可能性がある、と発表。 同時に海兵隊基地、州の災害管理局、州、郡、市の各警察、学校区(日本の教育委員会に当たる)、保健局などの各担当者が、それぞれの立場から職務をどう果たしていくかを説明しはじめる。 そして近場一帯の自治体関係者がマスコミに扮し鋭い質問をとばす。 たとえば、ある記者(市の学校関係者)は〇〇小学校と××中学校の生徒をどのように避難させるか具体的に聞いたり、CHP(州警察の一つで高速道路の監視に当たる)に住民をどう避難させるか聞いたりする。 会見も一度だけではなく、小一時間毎に開かれ、毎回事態が進展しているという設定。 それら一連の動きをFEMA(連邦政府の災害管理局)の複数の担当者が各々が十分に職責を果たしているか、役割分担がきちんと行われているか、などをチェックするという段取りで、その担当者はヒミツで誰がそうなのか知らされていない。 どこで誰が見ているか分からず、試される側は手を抜けないという念のいれようだ。
日本でも訓練は行われているだろうが、このような形のものはないのではないか。 実際にそのような事態になったとき、どの地区に住む住民はどう避難する、この学校はここに避難、この高速道路はこことここの出入り口が閉鎖される、等々説明が非常に具体的で分かりやすい。 当然欠点や難点も指摘されるだろうから、改善を重ねて練り上げられて、最終的にはベストに近いものになると考えられる。 行政組織や法令も違うから一概に単純比較はできないが、一番の違いは各政府、企業、団体関係者がお互い遠慮などとは無縁に、それぞれの職責を最大限に果たすために最大限の努力をする、というその姿勢だろう。 これは学ぶべきものだと思う。
今回の訓練は定期的なもので、日本の福島第一原発の事故を念頭に入れたものではないというが、全員の頭の隅には福島の事例が絶対あるはずだ。 それはもう一企業や一政府の問題ではなく、全世界、地球規模の問題となっているのだから。