アルテピアッツァ美唄からさらに山奥へ10分。

オレンジ色の櫓が2棟見えてきた。

道道135号(美唄富良野線)から山側へ少し入ると

1台も停まっていない駐車スペースがあった。

「炭鉱メモリアル森林公園」の入口である。

 

正午間近だが人の姿は全くない。

おまけに「熊の目撃情報があるので注意せよ」の看板。

少しビビりながら歩を進める。

 

まず目に入ったのは「原炭ポケット」。

石炭と岩石を選別する施設だ。

石炭の比重は岩石より軽いので、一定の比重の溶液を使うことで

石炭だけが浮いてくるしくみだそうだ。

 

少し進むと駐車場から見えていた竪坑櫓が2基。

炭鉱夫や資材を地下170メートルまで運んだ坑道施設で、

櫓の高さは地上20メートル。

 

竪坑の手前には、アルテピアッツァ美唄で散々見た彫刻がある。

安田侃氏の希望により、この公園内に設置されたもので、

原炭ポケット前と開閉所内にも彼の作品が鎮座している。

 

竪坑の近くには、2階建ての廃墟がある。

発電所と送電線との電路を開閉する「開閉所」だ。

原炭ポケットや竪坑といった電力を使う施設が多いので

必要だったのだろうか。

 

 

気付くと数組の人たちが入園していた。

公園名はたいそうなのだが、

炭鉱施設の廃墟と彫刻作品が3点あるだけなので

見学に要する時間は15分もあれば十分だった。

帰るまでクマに出逢わなかったのは幸いだった。

 

公園から15分ほどで最後の目的地

「ピパの湯ゆ~りん館」に到着。

美唄市内にある温泉ホテルである。

 

食堂のランチ営業は14時30分で終了だったので、

入浴前に昼食をとることにした。

ラーメン、そば、うどん、カレー、丼などの中から

「美唄名物よくばりセット(1,000円)」を選択。

鶏めし、美唄焼鳥、蕎麦のセットである。

美唄焼鳥は、一串にレバーやハツ、キンカンなどのモツ、

鶏皮、モモ肉が刺さっているところが特徴で、

炭鉱夫のスタミナ源だったという。

 

この値段で美唄づくしを堪能できるのだから嬉しい。

満腹になったところで温泉へ。

洞窟露天風呂は、夜になると青色にライトアップされる。

内風呂は、ジャグジー、高温、低温があり、

サウナや水風呂もあり、満足度は高かった。

 

<2日目の行程>  ※道の駅1か所、走行距離147km

08:35  サンフラワーパーク北竜発

08:50  田園の里うりゅう※

10:25  アルテピアッツァ美唄

11:55  炭鉱メモリアル森林公園

12:25  ピパの湯ゆ~りん館(昼食・入浴)

17:25  札幌着

 

訪問した道の駅は7か所、走行距離は320km。

1泊2日の炭鉱遺産を巡る車中泊は無事終了。

足の筋肉痛を除けば、特段のトラブルはなかった。

 

北海道のみならず日本の産業発展を支えてきた炭鉱たちは

国策により半世紀前にその殆どが終焉を迎えた。

隆盛を極めた炭鉱もわずかの遺構を残して

自然に還ろうとしている。

炭鉱は何れ忘れ去られる運命なのかもしれない。

還暦を過ぎた自分自身が消滅するのもそう遠くはない。