奈井江から15分で旧上砂川駅に到着。
1926年官設鉄道函館本線の駅として開業し、1994年に廃止された駅だが、
倉本聰の脚本による映画「駅STATION」や
TVドラマ「昨日、悲別で」のロケ地となった場所。
ナビゲーションのアプリを使ってたどり着いたのだが、
駅舎は修復中でシートに覆われていた。
かすれた文字で「悲別駅」と
書かれた案内板が垣間見えるのみ。
ここで高倉健や倍賞千恵子が撮影したはずだが
残念ながら駅舎内に入れなかったので実感が湧かなかった。
すぐ裏手には上砂川商工会議所、背後には新緑の森。
セミの大合唱が聞こえる。
1896年に開鉱し、1987年に閉山した
旧三井砂川炭鉱の竪坑が見えている。
頻発したガス爆発事故で大勢の鉱員が命を落とした。
1991年には地下無重力実験センターが開設されたが
それも2003年に閉鎖され、今は竪坑だけが残っている。
賑わった駅も遠い昔のこと。
ここから10分足らずで道の駅うたしないチロルの湯到着。
スイスやオーストリアのチロル地方に景観が似ているので
この名前になったという。駅舎も山小屋風だ。
旧炭鉱の採掘坑から毎分650リットルが湧出する天然温泉があり、
温泉とスポーツが楽しめる宿泊施設が併設されている。
歌志内市(うたしないし)は人口が全国最小の市。
現在の人口は2,600人なので、普通に村より少ない。
1948年には46,000人もいたというから
炭鉱閉山により過疎化が急激に進んだ典型的なまちだ。
入口付近には空知炭鉱が寄贈した
巨大な石炭が鎮座していた。
駅内にはわずかな土産物と廃線となった歌志内線のパネル。
この辺りは「なんこ(馬の腸)」を使った料理が有名で、
冷凍庫には生なんこやジンギスカン肉などが眠っていた。
「なんこ鍋」はマンガ&アニメの
「ゴールデンカムイ」にも登場した。
クーラーボックスを持って来ていないので、
常温で持ち帰ることができる缶詰でもあれば
土産に買って帰りたいところだが残念。
何とも商売っ気のないことだ。
北海道らしいといえばそれまでだが。
熊の肉球型の焼き菓子が可愛かったので購入。
チョコレート味の少しパサついた食感。
他に買いたくなるものはなかった。
道の駅から10分足らずで「悲別ロマン座」に到着。
1953年に住友歌志内炭鉱の職員厚生施設、
いわゆる映画館として建てられたもので、
高倉健主演の映画「幸せの黄色いハンカチ」や
1984年に日本テレビ系列で放送された
ドラマ「昨日、悲別で」のロケ地となった場所だ。
もちろん今は利用されておらず廃墟状態。
保存会もあるらしいのだが微妙な感じ。
倉本聰の直筆による「昨日、悲別で」の看板があった。
「昨日悲別で少年が生まれ 今日悲別で少女と出逢った
明日悲別に小さな灯がともる」
裏側はこうなっている!
裏手にはペンケ歌志内川という小川がある。
歩行者用の小さな木橋は使用禁止になっていて、
今にも朽ち果てようとしている。
ここも山の中。セミの鳴き声だけが響いている。
次の目的地は「ガタタン」の故郷なり