本日のメインイベントは「えりも岬」。

30年以上前に一度来たことがあるがご無沙汰している。

何とか日没前に到着できそうなので、

思い切って足を延ばすことにした。

 

新冠町(にいかっぷちょう)の道の駅から海岸線の国道をひた走り

2時間ほどでえりも町の市街地に入る。

ここまでは晴天だったのが、

急に白い霧が立ち込めてきた。嫌な予感がする。

ここから15分で岬なのだが、霧は一向に晴れない。

 

日没前の30分前(午後5時30分過ぎ)に駐車場に到着。

辺り一面が霧の中、駐車しているのは私を含め3台だけだった。

売店が入っている

えりも岬観光センターも既に閉店していた。

 

折角来たのだから、遊歩道を数百メートル歩いて

展望台まで行ってみた。

途中に白亜の襟裳岬灯台があった。

初点灯は1889年というから135年の歴史を誇っており

日本の灯台50選にも選ばれている。

 

 

展望台に到着したが辺りはやはり霧の中。

岬の突端から下を覗くと

大きな音をたてて岩にぶつかる白い波が見える。

十メートル先はまっ白の世界。

 

 

 

近くには国指定文化財の案内パネルがあった。

「名勝 ピリカノカ 襟裳岬(オンネエンルム)」と書いてある。

「オンネエンルム」とはアイヌ語で「大きく、突き出たところ」。

つまり大きな岬というのが、「えりも岬」の語源なのだとか。

 

さらに数十メートル歩くと

もう一つ「襟裳岬」の看板がある。

 

 

そして2つの歌碑があった。

1961年に発売された島倉千代子が歌った「襟裳岬」と

1974年発売の森進一の「襟裳岬」だ。

島倉千代子の歌は知らなかったが、

森進一の方は年配者なら殆どの人が知っていると思う。

 

 

黒い記念碑があった。

平成18年に天皇陛下がえりも岬を

視察したときの様子を詠んだ歌が書かれている。

「吹きすさぶ海風に堪へし黒松を

  永年(ながとし)かけて人ら育てぬ」

上皇様も断崖の下のこの白い波を見たはずだ。

 

 

襟裳岬は風速10メートル以上の風が吹く日が

年間260日以上もある日本屈指の強風地帯。

駐車場の近くには「風の館」という施設もあるが

ここも午後5時に閉館していた。

中には風速25メートルの風体験や動植物の展示コーナー、

建物の中から岬の様子を見学できる展望室、

オリジナルグッズの販売コーナーなどがある。

 

海は見えなかったので残念だったが、

気を取り直して駐車場を後にする。

ここには道の駅も入浴施設もないので様似町に向かう。

 

岬から数分走ったところで

10頭ほどのエゾシカの群に出くわす。

彼らはマイペースで道路を横断中だった。

霧のために徐行していなかったら

衝突していたかもしれない。

 

えりもの市街地までくると霧は晴れていた。

岬から40分ほどで「アポイ山荘」に到着。

ここは近くのアポイ岳の登山客などが利用する温泉宿泊施設。

温泉は500円で入浴できる。ありがたや。

露天風呂、サウナ、水風呂、内湯のシンプルな構成。

 

風呂上がりに脱衣場で着替えていたら、

えりも町の漁師らしき爺さんから声をかけられた。

自分は飲まないのでビールを飲んで帰る仲間の運転手役と言う。

えりも岬は霧だったと伝えると、

今時分は霧が多いので、

夏以降が見頃だと教えてくれた。

事前に分かってたら、来る時期をずらしたかもしれない。

 

夕食はレストランでも食べられるが

リラックスできる休憩室で摂ることにした。

つぶ玉丼にしようかと思ったが、

つぶ貝は良いとしても、苦手な卵綴じだというので

味噌カツ丼1000円を注文することにした。

 

味噌の塩気はやや気になったが、

トンカツはボリューム満点、空腹も調味料となって

大満足の夕食となった。

 

風呂も飯も済ませたので、後は寝るだけだ。

近くのキャンプ場の駐車場で

600円払って車中泊する予定だったのだが

トイレも近くになさそうだし、暗くて物騒だったので

少し足を延ばして三石町の道の駅まで戻ることにした。