2月上旬。道央が吹雪いた日の翌日、

後志管内岩内町(いわないちょう)へ

道内出張4連発の最後。相手は昔ながらの頑固親父である。

彼は私が働く某団体の役員なのだが、ある案件で説得するのが目的だ。

 

朝8時20分頃、札幌の自宅を出発。

札幌市内の冬の朝は、特に渋滞している。

札樽自動車道に入るまでかなりの時間を費やしたが、

高速に乗ってからはまずまず順調に流れた。

とはいえ、1時間もすると私の膀胱は悲鳴をあげ始めた。

 

小樽ICを通過、終点の余市(よいち)ICから10分程で

道の駅「スペース・アップルよいち」に到着。

出発から1時間半で、ようやくトイレにありつけた。

 

せっかく道の駅に来たのだから、少し見物することにした。

道の駅は、小さな売店があるのみで至ってシンプル。

駐車スペースも10台分くらいしかない。

売店には地元産のワインやりんごジュースが並ぶ。

売れ残ったりんごたちは寂しげだった。

ここ余市町は、りんごやぶどうなどの果実栽培が盛んなまちだ。

 

 

 

 

自宅用に「りんごのおっぱい(630円)」を購入。

「つがる」という品種のジュースだが、

りんごをそのまま絞った濃厚な味わいだった。

 

道の駅の隣には、「余市宇宙記念館」がある。

少しだけ覗こうかと思ったら、冬期間のため休館中だった。

 

 

余市町出身の宇宙飛行士「毛利衛」のポスターが微笑んでいる。

彼は2000年、スペースシャトル「エンデバー号」に

日本人科学者として初めて搭乗した地元のヒーロー。


 

寄り道を済ませ、仕事先の岩内町まで約45分。

案の定、石頭の説得に失敗して落ち込む。

1時間遅れの昼食は、石頭の奢りで町内の寿司屋へ。

創業50年超だけあって、特上寿司は美味であった。

海外セレブのスキーヤーなどが滞在しているニセコ町から

小一時間かけて来店する客も多いのだとか。

 

気を取り直してここからが自分の時間。

岩内町出身の木田金次郎美術館が町内にあるので、

行ってみようと思ったら、またまた冬季休館中だった。

彼は、有島武郎の小説

「生まれ出づる悩み」のモデルとなった画家。

漁師をしながら故郷の厳しい自然を描き続け、

有島の没後は、画家に専念したという人物だ。

30年前に岩内に来た時に寄れずに気になっていた施設だが、

縁がないということか。

 

そうこうしているうちに、また膀胱が破裂しそうになったので

道の駅「いわない」へ。

ここの駅に隣接した駐車場はなく、歩いて数分の駐車場に停めるしくみ。

 

トイレも道の駅から少し離れている。

震えながらトイレに到着。

トイレの中には、無駄に植栽が施されている。

それより道の駅に駐車場があった方がいいってば。

 

 

すっきりしたところで改めて寒風吹き荒れる道の駅へ。

得体の知れないたらこ唇のマスコットが存在感を示している。

2006年のTVチャンピオン「ゆるキャラ日本一決定戦」で

準優勝に輝いた「たら丸」だ。

スケトウダラがモチーフの町のマスコットで

手に持っているのはグリーンアスパラ。

 

 

たら丸や仲間のべに子のぬいぐるみやキーホルダー、タオルが並ぶ。

クリアファイルのラインナップも多彩だ。

 

 

地元の酒米を使った純米大吟醸「山」と純米吟醸「海」、

たら丸ワイン、はちみつ、たらこ、漬物など

特産品が所狭しと並んでいる。

 

 

 

人口1万1千人の岩内町は、国内で初めて野生のホップが発見された場所。

クラフトビールもちゃんとある。

その名も「IWANAI BREWERY」。

地元の海洋深層水を使ったビールを作っている。

温泉に入って飲んで泊まれるホテルも作った。

 

そんなブルワリーのビールも売っているのだが、

チーズ大福と一緒に別の醸造所に委託生産している

岩内地ビールの方を買ってしまった。

こっちも海洋深層水を使っているようだが。

 

 

 

駅舎内には力士の等身大パネルがある。

岩内町出身の一山本関だ。

昨年の九州場所で11勝4敗と勝ち越し

前頭7枚目に昇格するも、初場所では5勝10敗と負け越し。

北海道福島町役場職員から25歳で各界へ転身した遅咲きの力士。

彼の化粧まわしにもしっかり「たら丸」がいる。

 

雪が降ってきた。余市に戻ることにした。