私は、子どもの頃から運動音痴だった。

体育の授業は何をやっても苦痛だったし、運動会は最も嫌いなイベントだった。

そんな私が大人になり、テレビで駅伝やマラソンを見ているうちに

走ることに目覚めた。40歳代後半から、

市民向けのマラソン大会(10kmの部)や駅伝大会に出場するようになった。

 

ところが、ほどなくして膝を痛めてしまい、私の陸上人生は数年で幕を閉じた。

走れなくなってからも、箱根駅伝をはじめとする駅伝やマラソンなどは、

テレビにかじりついて今でも観ている。

陸上マニアが運営する動画サイトもチェックするようになってしまった。

 

前置きはさておき、今年7月に米国・オレゴン州で開催される

「世界陸上競技選手権大会」の代表選手の選考が注目だ。

昨年の東京オリンピック女子1500mで8位入賞を果たした田中希実選手、

同じく男子3000m障害で7位になった三浦龍司選手のほか、

男子100mのサニブラウン・ハキーム選手などが

すでに内定している。

 

世界陸上の代表に選ばれるには、種目ごとに設定されている

かなり厳し目の「参加標準記録」を突破していることが前提で、

さらに原則として、日本選手権での上位入賞が必要となっている。

しかもこの標準記録は、有効期間があり、

10000mの場合は、2020年12月27日から2022年6月26日だ。

それ以前にいくら良い記録を出していたとしても認められない。

 

東京オリンピックの男子10000mに出場した相澤晃選手は、

今年5月7日に開催された日本選手権で優勝したものの、

標準記録の27分28秒を突破できなかったので、

オランダの大会(6月5日)に出場して記録を狙ったが、

標準記録を突破できずに、今回の世界陸上出場を断念したそうだ。

 

それでも多くの有力選手は、

標準記録突破のラストチャンスとなる6月22日開催の

「ホクレンディスタンス深川大会」に出場することになった。

こんな貴重なレースが道内で観戦できるのなら、行くしかない。

 

大会当日、私は札幌から旭川行の特急に乗り、1時間余りで深川に到着。

陸上競技場付近への市営バスもあることはあるのだが、

本数が少ないので、2.6kmの道のりを30分余りかけて歩いた。

 

観戦希望者は午後3時以降に競技場に入場でき、

先着500名が観戦できるしくみだったが、私は午後1時半に会場に到着した。

運動公園内で深川駅舎内にある物産館で買った

「深川そばめしの俵おむすび(3個入り400円)

を食べたりして、時間を潰した。

そばとめしをソースで和えたおむすびと思っていたが、

地元産の米に「そばの実」を入れ、そばつゆで味付けしたおむすびだった。

少し薄味だったが、塩分を控えたい私にはちょうど良かった。

 

入場20分前に会場受付に並んだ。私は20番目くらいだったので、

余裕で観戦の権利を得ることができた。ありがたいことに無料である。

私は、ゴール付近のマスコミ席の近くに陣取った。

大学や実業団の監督・コーチらが選手の付き添いで来ていた。

マラソンの川内優輝選手のものまね芸人「M高史」も現れた。

 

午後4時20分スタートの女子1000mでは、

田中希実選手が自身が持つ日本記録を0.39秒縮める2分37秒33で

見事日本新記録を達成して優勝した。

彼女は、この1時間余り後の女子1500mでもペースメーカーとして

選手を引っ張る役割も全うするなど、大活躍だった。

(先頭を走る田中選手)

 

(ペースメーカーを務める先頭の田中選手)

 

このほか、女子では5000m、10000m、3000m障害、

男子では800m、1500m、5000m、10000m、3000m障害が行われ、

選手たちは記録を目指して全力を尽くした。

 

しかし、梅雨のない北海道にしては湿度が高く、

コンデションが良くなかったせいか、

田中選手を除いて日本新記録や

標準記録突破は実現しなかった。

私は、午後8時少し前の協議終了とともに会場を後にした。

 

世界陸上での日本人選手の活躍に期待したい。