ただいマンゴスチン! さっき家に帰ってきました。

 こんなさむ~いことを私が書いてしまうのは、一重に精神的ストレスのせいなのでしょう…(そうか?)。


 今日もとっとと学会準備をしなければならないところだが、まずはブログを書いてリフレッシュしてから手をつけますわ。



 で、本題。


 最近の私は勤務中のマスクが手放せなくなってきた。

 マスクをするようになったキッカケは、先月インフルエンザが猛威を振るっていたから、その予防のためだった。

 それが、いざマスク着用が続いてしまうと、マスクの意外な効用に気が付き、手放せなくなってしまった。


効用① スッピン隠し

 今年度からはわりとメイクをして出勤するようになったけど、それでも週1回くらいは面倒くさくってスッピンで家を出てしまう私。

 マスクで目の下から顎まで覆ってしまうと、スッピンぶさいく顔をだいぶ隠せるので重宝だ!


効用② 悪い顔隠し

 患者さんから無理難題をつきつけられたりすると、あたくしも人間ですのでムッとすることはある。でも、それを表情に出したりすることはよろしくない。

 マスクをしていたら、ムカついたときに口元を歪めても患者さんにはバレない。ひどいときには、無音で悪態をついたりして…。


 疲労ゲージ満タンの私は、だんだんと性格が悪くなっているみたい。

 昔はこんな子じゃなかったはずなんだけど…。

 下ネタですみません。

 なるべく医療とはかけ離れたネタでブログを書いて、気分転換を図りたかったもので…。


 手帳を見てみると、旦那さんとの夜のほにゃららは4ヵ月前が最後だった。

 以前は子作りのために排卵日近くに2ヵ月に1回はコトに及んでいたのだが、不妊症外来に行って「たぶん体外受精じゃないとムリ」とDrに言われてからは、旦那にとっては不純異性交遊をする積極的な理由がなくなった。


 交際当時は人並みに男性欲望がギラギラだった旦那も、交際から10年経ち、結婚から5年経ちで、そういう欲動が次第に減少していった。


 私は33歳の健全な(?)オンナ。

 そりゃあ性欲だってありますわよ。


 ときどき旦那に迫ってみるけど、いつも玉砕。

 旦那の断る理由は、「明日は仕事が早いから」「今日はお腹の調子が悪いから」「今、排卵日なの?(排卵日じゃなきゃ、しないってこと)」など。


 今回、改めてこのネタを書こうと思ったのは、先日の旦那の断る理由があまりにもおかしかったから。

 それは…、


 「明日、健康診断だから」


 ???

 健康診断を控えていると、交尾しちゃいけないのか?

 よくよく理由を問うと、「尿にタンパクが出たら、マズイでしょ」って。

 違うと思うんですけど…。

 本来ならば、今は学会発表のためのパワーポイントを作っていなければならないところなんだけど、やる気しね~~。

 締め切りは11月30日なんだけど、”土日で何とかなるかな”と未来の自分に過剰な期待を寄せる私。

 「土日で何とか」とは書きつつも、土曜日は当直だから、その業務が忙しくなってしまえば、学会準備は大したできないわけであって…。

 たぶんとっとと手をつけないとヤバイわけなんだけど、やりたくね~~。


 (いつものことだけど)仕事が昨日・今日とめっちゃ多忙だった。

 昨日からDrの1人が風邪で休んでいて、そのDrの分の外来診療もこなさねばならず、9時~18時までノンストップの外来だった。もちろん飯抜き。

 おまけに昨日は当直で、当直中に学会準備をしようと思っていたんだけど、全身倦怠感から全く手をつけることができず、21時頃から当直室のベッドに釘付けだった。

 さっさと寝て早起きして準備をしようと思ってはみたけど、病棟からの電話連絡で3時間毎の断眠が続き、結局ぎりぎりまで寝てしまった。


 学会発表なんて、別にしたかないのに…。


 とりあえず、ブログを書いて気分転換を図ってから、学会準備をしようと自分に言い訳。ビール2缶目。

 女性なら自分のルックスは磨きたいところ。

 私は旦那と交際から10年、入籍から5年、同居から4年。

 だんだんと異性の目を気にしなくなってきた。


 先日、私が大学病院で一緒に働いてきた1歳上の女性心理士さんと飲んだ。

 その心理士さん(Aさん:独身)はオンナだった。

 Aさんは職場のDrと不倫中…。

 「最近、旦那とはごぶさたで…」の私の愚痴に、Aさんは「みるこは旦那に対しても安売りするんじゃないよ!」と喝!。


 不倫未経験の私としては、不倫女性って、どこか不幸のオーラが漂っているんじゃないかと思っていたけど、Aさんは堂々たるもの(少なくとも私の前では…)。


 「来年度からは不妊症治療に専念して、子供が欲しい」という私に、Aさんは「みるこには悪いけど、私はそこまでしてまで子供が欲しいとは思わないわ。だって、子供ができることによって、パートナーの関係も変わってくるでしょ? 私はいつまでもオンナでいたいわ」と。


 Aさんとは相容れない価値観もあるけど、そこまであっけらかんと言うAさんに、どこか爽快なモノを感じた。

 ちなみに、Aさんはルックスは羽野晶紀だが、声のトーンは杉本彩。


 私だって、まだまだオンナ捨てないわ~~~~!

 「ブーのスーのブー」とは旦那に思わせないわ~~~~。

 前のブログの続き的なみたいな。


 一般的な精神科医の資格(?)。

 ①精神保健指定医

 ②精神科専門医

 ③博士号


 精神科医8年目の私。②しか持っておらん。

 ①はこれから取得する予定だ。


 よく精神科クリニックとかの広告をみると、院長:○○×男(医学博士、精神保健指定医)なんて書かれていたりするけど、(前のブログにも書いたけど)医学博士=臨床能力が高いというわけではない。

 医学博士を取るために、マウスとか相手にコツコツと実験していた根性は認めるが、だからといって医学博士が優れた診療が行えるという証拠にはならない。

 (博士号を持っている先生で、いい先生はたくさんいると思うけど、持っているからといって必ずしもいい先生とは言えないということだ。ちょっとクドイかな。)


 それと、精神保健指定医に関しても、臨床経験が5年以上あって、規定のレポートをそれなりに書いたら取得できるのだから、精神保健指定医=臨床能力が高いということにはならない。


 で、①~③の中で、唯一私が持っている②の精神科専門医。

 これに関しても、外来もしくは入院患者さんのレポートを3例提出して、口頭試問で基本的な精神医学の知識を問われるだけだから、よほどじゃない限りは(現在のところは)合格できる。

 私の周囲で精神科専門医の試験を落ちた人は、一人も聞いたことがない。


 初めて精神科の病院もしくはクリニックの門戸を叩く人の中には、どこに行ったらいいのかわからず、①~③の資格を持っている医師がいる病院に行こう!ということになるかもしれないが、ぶっちゃけあんまり意味ないように思う。

 「じゃあ、どこに行ったらいいのよ!」と言われたら、非常に困るけど、当たるしかないのだと思う…。


 ときどき「転居するから、その近くにあるいい先生がいる病院に通いたいです。いい先生がいる病院を紹介してくれませんか?」って言われることがあるけど、答に窮することが多々ある。

 よほど評判が悪い病院もしくはクリニックのことは耳にしたりする。だけど、同じ県内で医業をやっていたら、私が「あそこは良くないよ」と患者さんに言った話が、どこかの医師の耳に入って、「みるこ君は、いかがなものか?」と思われてしまうわけであって…。


 そもそも、特に精神科においては、いい先生かどうかは、患者さんとの相性にもよるんだと思う。

 指示的に「あなたはこうしなさい!」とビシッと言う医者がいいと思う患者さんもいるだろうし、それを不快に思い、のらりくらりと話を聞いてくれる医者(私はこっち)がいいと思う患者さんもいると思う。


 精神科医の資格はいろいろあるけれど、たぶん実際に会ってみなきゃ、自分にとってのいいお医者は見つからないのだと思う。

 来年度からは精神科医を辞めて(?:一応、大学医局側には一時休止ということになっているが、今のところは戻る気はさらさらない)、フツウのおばさんになる予定の私。

 無職生活までは、あと4カ月とちょっとなんだけど、今の病院の業務の多忙さなどから、ココロ折れそうになることもしばしば…。


 普段の診療が忙しいことの他に、12月にある学会で発表をしなければならず、今はその準備でてんやわんや(ブログ書いてるヒマがあれば、少しでも準備せにゃならんのだが、やる気ないからなかなか手につかない)。


 それと、精神科医8年目にして精神保健指定医の資格を持っていない私は、12月中旬に東京で開催される指定医講習会に行き、指定医取得のためのレポートを書かなくてはならない。

 レポート自体は講習会参加から(確か)1年以内に提出すればいいらしいのだが、来年4月から無職となる私は、無職期間にレポートを提出すると判定員(?)の心象が悪くなるらしく、提出するなら有職中に済ませておいた方がいいらしい。

 有職中にレポートを出すのであれば、来年1月が締め切り(らしい)。


 ぶっちゃけ、精神科医に今のところは復帰するつもりはないから、指定医は別に持ってなくてもいいんだけど、そもそも今の病院に今年4月から赴任した理由は、大学医局側から指定医のレポートを書くための症例集めという名目になっているから、一応は”指定医取得のために頑張りました”というカタチだけでも残さないといけないわけであって…。

 昨年11月に翌年度の人事のために医局長から大学に呼び出されたときに、「みるこ先生はまだ指定医を持ってないから、レポートの症例が集まりやすい病院に行った方がいいでしょ?」と言われて、「別にいらないです」とは言えなかった。

 フツウの精神科医は指定医の資格が欲しいわけであって、(本当はやる気そんなにないんだけど)やる気のない女だと医局長に思われたくなかった。


 精神保健指定医の資格を取るためには、以下の症例のレポートを書かなければならない。

 ①統合失調症:3例

 ②気分障害:1例

 ③中毒性精神疾患:1例

 ④児童思春期症例:1例

 ⑤老年期精神障害:1例

 ⑥器質性精神障害:1例


 ①については措置入院を1例以上含まないといけず、②~⑥については医療保護入院じゃないといけない。

 私は医師2~4年目の期間を、地方の総合病院精神科で勤務してきたのだが、そこでは措置入院の患者さんを入院させることができなかった。だから、当然、措置入院の症例のレポートは書けないし、それと、高齢化が進みに進んでいたその地方都市では、児童思春期の症例はなかなか来ない。

 そういうわけで、私は医師5~7年目を外来のみの病院で過ごしたから、指定医を取ることはできなかった。


 ちなみに、精神科専門医の資格は持ってます。

 それは外来患者さんのレポート+口頭試問でOKなので。


 精神保健指定医の資格を持っていないと何が不利かというと、持っていないと患者さんを強制的に入院させる権限がないということだ。

 どんなに臨床経験が豊富な精神科医で、この患者さんは今すぐ入院させないと自殺のリスクが高い!と思っても、その患者さんが入院を拒否するなら、指定医の資格を持っていなければ入院させることができない。

 だから、私の場合は、そういう患者さんのケースでは、指定医を持っている先生にちょいと診察というか顔見せをしてもらって、入院に持ち込む。


 指定医と非指定医だと、患者さんに対して行うことができる権限が違うから、個人的にどこかの病院に就職しようとか思ったら、指定医を持っている精神科医の方が断然有利だ。


 ちなみに、精神科専門医の資格は、持っていても持っていなくても何も変わりゃせん。持っているからといって、患者さんに対する診療費が上がりはしません。

 仮に研修医が診察をしても、私が診察をしても、患者さんが負担する金額は同じどす。


 ついでに言わせてもらうと、世間的には医学博士を持っている医師はすげ~ってことになると思うのだが、博士号を持っている=臨床能力が高いということにはなりまへん。

 博士号を持っている人は、たいがい(あくまでもたいがいよ!)はマウス相手に実験をして、その結果を論文にして発表して、博士号を取得したわけであって、博士号を持っているからといって、非博士号取得者よりも診療の腕がすごいということにはなりまへん。


 よく学生時代に聞いたコトバ。

 「博士号は、足の裏の米ツブと一緒」

 取らないと気持ち悪いけど、取ったからといってどうってことはない。


 私は博士号は持っておりまへん。

 大学医局側から「大学院に行かないか?」のお声がかからなかったからね。

 お声がかからなかった当時は、ちょいと悔しい思いを感じなくはなかったけど、今から思えば、お声がかからなくって良かったと思う。

 もし、私が大学院に入って、博士号を取ることになっていたなら、「不妊症治療のために休職したい」という私の要望は間違いなく却下されていただろうから。

 今日、午後の外来診療を終えて、病棟詰所で患者さんの診断書やらを書いていたら、号泣する女性患者さんの声がイヤでも耳に入ってきた。

 なぜ泣いているのかは私にはわからないが、これまでもその患者さんはストレスフルなイベントがあると病棟デイルームで号泣していた。


 その患者さんに対して、ひたすら話を聞く夜勤看護師さん。

 患者さんにとっては自分で自分の情緒を抑えることができなくって苦しいんだろうが、私はごくごく自然に「いいな…」と思えてしまった。

 泣きたいときに思いっきり泣けて、それをちゃんと聞いてくれる人がいる。



 業務の多忙さなどからメンタル的に弱りきっている私は、患者さんの涙ながらの陳述を聞きながらも、”泣きたいのはこっちだよ”と、ココロのどこかで思ってしまう。

 患者さんにとってハートフルな診療をするには、医療者側にココロの余裕がないとできないのだと思う。

 でも、現在の我が病院の診療体制では(おおげさに言うと、現在の日本の医療体制では)、医療者側が余裕を持って診療に当たることは難しいのではないかと思う。


 へたれ精神科医の私だって、時間に余裕があるのなら患者さんの話をじっくり聞きたいとは思うのだけれど、待ち患者さんがどっぷり溜まっているのならムリなんだ。

 嫁・姑の確執とか、彼氏にふられて辛いとかいう話とか…、診療費を全額自費で払うのなら別かもしれないけど、”あなたが愚痴っている話の診療費の7割は保険から支払われているのよ”と言いたい気持ちになることもある。


 特に精神科って、ただの悩み相談と、精神症状の相談との線引きって難しい。

 そして、精神科医なら今の自分の状況をズバッと改善してくれる抜本策を提示してくれるに違いないと期待してやってくる患者さんもいたりする。


 大したことできまへんで~。精神科医は(っていうか、精神科医ではなくとも、誰でも大したことできない問題は多々ある。)

 「嫁がこうこうこうこうで、困ってるんです!」とか言われても…。

 精神科医っていうか他者にできることとしては、「大変なんですねぇ」と、その人に共感してあげることくらいなわけであって…。


 誰であっても、過去と他者を変えることはできません。

 変えることができるのは未来と自分だけです。

 今日、仕事が終わって、携帯を見たら、懐かしい人からの着信履歴があった。

 私が医師2年目(6年前)のときに地方総合病院で一緒に働いていた、1期上の男性医師(O先生)からの着信だった。


 家に帰って来てから、早速電話をかけ直すと、O先生は「みるこ先生、大丈夫なの?」だった。

 私は何が大丈夫?なのかわからず、???的な感じだったのだが、O先生は私が現在休職していると聞いて、心配して電話をくれたらしかった。


 心配してお電話をくれたことが、ありがたかった。


 O先生には、ちゃんと「私は今はどうにか仕事はやっているけど、来年度からは不妊症治療に専念するために休職します」ってことを説明した。

 それを聞いて、O先生も安心したような口調だった。


 O先生とはしばらく会ったり、話したりする機会はなかったんだけど、心配してくれたことがすごくありがたかった。


 O先生は2年前に私が今勤務している病院で働いていて、ここの病院の多忙さはよくわかっている。

 だからこそ、私が休職するらしいという噂を聞いて、てっきり私が多忙さのためにうつ的になっちゃって、仕事を休職することになっちゃったんじゃないかと心配してくれたよう。


 ありがとうございまする。

 みるこはどうにか働いています。

 ココロは折れるか折れないかの限界ですけど、あと4カ月半、なんとかやっていきます。

 今日の帰宅も以前に比べたら遅いんだけど、昨日みたいに帰り道に涙ぐむことはなかった。精神状態はいたってフツウだった。


理由① 外来が激務ではなかった。

 普段、診察を待っている患者さんがどんどん溜まってきて、患者さんの待ち時間が2時間とかになっちゃうと、気持ち焦りまくりの私。

 焦ったからって、診療をスムーズにこなせるわけではないんだけど、そういうのって私にとっては非常にストレスフル。

 今日はだいたいの患者さんを待ち時間1時間以内に診察できたから、そんなにストレスを感じないですんだ。

 それでも、他のDrに比べたら、外来診療を終えた時間は遅く、私はビリだった。


理由② 外来終了後は主に書類書きをしていた。

 今日は外来終了後に数人の入院患者さんの面談をし、それからは溜まりに溜まっていた書類書きをした。

 ず~~っと(昨日は9時~21時)患者さんの話を聞き続けるのは、経験したことのない人にはわからないかもしれないけど、非常に疲れるものだ。

 友達とず~~っと話をするのとはわけが違う。



 他Drは少なくとも私よりは要領良く、患者さんの診察をこなしている。

 担当している患者数は、おそらく私は他Drより少ない。

 なのに診療に時間がかかる。


原因① 私の受け持ち患者に(言葉は悪いけど)面倒な人が多い。

 3分診療の院長&副院長の診察に不満な患者さんは、もっとちゃんと(=長く)話を聞いてもらいたいと、女医の診察を希望する。(そして、患者さんが主治医変更を希望したら、私の病院では基本的には採用するシステムだ〔これまで勤務していた病院ではそうではなかったのだが…〕。)

 だから、私の外来に診察時間が長くかかる患者さんが集まる。


原因② 私が人の話を途中で切るのが下手。

 他Drは患者さんの話が横道にそれまくったときに、どこかで”そんなことは聞いてねえよ”オーラを出したり、患者さんが話している途中でも、自分の言いたいことをズバッと言ったりして、診療時間の効率化を図っているらしい。

 私、それがどうもできない。上辺だけの優しさで、患者さんが全然診療に関係ないことを話し始めても、途中で止めたら患者さんに悪いような気がして、ついつい聞いてしまう。

 それによって、次以降の患者さんの待ち時間がアップしてしまうのだから、本当の優しさとは言えない…。



 思えば、私は患者さんに対してというか、他者に対して甘い。

 「優しい」と言えば言葉はいいのだが、特に精神科医療においては患者さんに対して厳しく言わなければならないことも多々ある。

 でも、私はそれが苦手…。


 心のどこかで、”誰かに嫌われたくない”という思いが人一倍強いんだと思う。

 病院側の意向に患者さんor御家族の意向が沿わないことが少なからずある。

 そういうときの説得が、私にとっては非常に骨が折れる。

 他Drは「ムリなものはムリ!」と突っぱねるところでも、私はそう強気な態度に出れずに、「お気持ちはわかるのですが…」とたどたどしくこちらの見解を述べる。


 諸々のことを考え直してみると、私には精神科医としての適正が欠けているのかもしれない。7年半も精神科医をやってきて、今さら…なのだが。

 私は人の話を聞くこと自体は好きなのだと思うけど、相手の意に反して、話を中断させたり、こちらの意を通したりすることが不得手だ。


 ヒト相手ではなく、モノ相手の技術職に就いていた方が、私にとっては良かったのかもしれない。

 前回のブログで、今日は21時まで患者さんと面談して疲れたということを書いた。

 これを読んだ人の中には、”私はもっと遅くまで仕事してるわよ! そのくらいで何で愚痴をこいてるのよ!”と思う人もいるかもしれない。


 はい。言い訳しません。

 わたし、甘いです。


 ”仕事がストレス”と言いながら、不眠および食欲不振は全く来していません!

 うつ病の患者さんがよく言うような、「朝、目が覚めて、仕事に行こうとは思うんですけど、身体が動かないんです」っていう症状も経験したことがございません!


 世間には「いつ寝てるの?」というようなハード・ワーキングをしている人がたくさんいることは知っている。

 私の友人の循環器科医は「昨日、0時まで心カテ(心臓カテーテル検査)をしてたよ」とケケケと笑いながらビールを飲んでいた。


 私が今の自分の仕事を忙しいと感じるのは、相対的なものなのだろう。

 何かの本に書いてあったが、「同僚の年収が1000万円で自分は800万円で働くのと、同僚の年収が500万円で自分は700万円で働くのと、どちらがいいですか?」と問われたら、多くの人が後者を選ぶと。

 だから、私の病院で他Drも私と同じくらいまでの時間まで外来患者さんの診察をしていて、私と同じくらいまでの時間まで入院患者さんの面談をしていたのなら、私は今の境遇に大した不満は抱かないのかもしれない。

 現に医者1年目の頃は、むやみに23時くらいまでは医局に残って勉強したり、同期や先輩とダベったりしていた。


 今日の帰りのバスの中で(乗客は私含めて2人)、そんなことを考えたわけだが、小説『ノーフォールト』(ドラマ『ギネ』の原作本)を読んでいたこともあって、”私は産婦人科医。今日は21時過ぎに帰宅の路につけるから、ラッキーね”と思い込んだら、いくらかは気分がラクになるかもしれないと考えて、妄想モードに入ろうと思った。

 ”私は産婦人科医”、”私は産婦人科医…”

 ダメや。私は精神科医なの~。


 次の思考。

 ”あと4カ月半で仕事を休めるんだから、なんとかなるじゃない。”

 ”4カ月半”、”4カ月半…”

 な~が~い~。ダメや。


 さらに次の思考。

 ”仕事が忙しいと言ったって、飯を食うに困ってるわけでもないし、睡眠時間もちゃんと取れるんだから、いいじゃんか。”

 でも、や~だ~。


 普段の診療では、患者さんに「物事をもっとポジティブに考えましょう」なんて言ったりしてるけど、できへんわ~~。


 そして、私のような患者さんが外来に来たのなら、私はおそらく「仕事の負担を軽減してもらえるように、上司にかけ合ってみたらどうですか?」と言うのだろうが、言えへんわ~~。我が病院のクール院長に。そんなことは…。


 そういうわけで、患者さんに対しては、ごもっともなことを偉そうにペラペラ話している私だが、自分のことはちゃんとできまへん。