来年度からは精神科医を辞めて(?:一応、大学医局側には一時休止ということになっているが、今のところは戻る気はさらさらない)、フツウのおばさんになる予定の私。
無職生活までは、あと4カ月とちょっとなんだけど、今の病院の業務の多忙さなどから、ココロ折れそうになることもしばしば…。
普段の診療が忙しいことの他に、12月にある学会で発表をしなければならず、今はその準備でてんやわんや(ブログ書いてるヒマがあれば、少しでも準備せにゃならんのだが、やる気ないからなかなか手につかない)。
それと、精神科医8年目にして精神保健指定医の資格を持っていない私は、12月中旬に東京で開催される指定医講習会に行き、指定医取得のためのレポートを書かなくてはならない。
レポート自体は講習会参加から(確か)1年以内に提出すればいいらしいのだが、来年4月から無職となる私は、無職期間にレポートを提出すると判定員(?)の心象が悪くなるらしく、提出するなら有職中に済ませておいた方がいいらしい。
有職中にレポートを出すのであれば、来年1月が締め切り(らしい)。
ぶっちゃけ、精神科医に今のところは復帰するつもりはないから、指定医は別に持ってなくてもいいんだけど、そもそも今の病院に今年4月から赴任した理由は、大学医局側から指定医のレポートを書くための症例集めという名目になっているから、一応は”指定医取得のために頑張りました”というカタチだけでも残さないといけないわけであって…。
昨年11月に翌年度の人事のために医局長から大学に呼び出されたときに、「みるこ先生はまだ指定医を持ってないから、レポートの症例が集まりやすい病院に行った方がいいでしょ?」と言われて、「別にいらないです」とは言えなかった。
フツウの精神科医は指定医の資格が欲しいわけであって、(本当はやる気そんなにないんだけど)やる気のない女だと医局長に思われたくなかった。
精神保健指定医の資格を取るためには、以下の症例のレポートを書かなければならない。
①統合失調症:3例
②気分障害:1例
③中毒性精神疾患:1例
④児童思春期症例:1例
⑤老年期精神障害:1例
⑥器質性精神障害:1例
①については措置入院を1例以上含まないといけず、②~⑥については医療保護入院じゃないといけない。
私は医師2~4年目の期間を、地方の総合病院精神科で勤務してきたのだが、そこでは措置入院の患者さんを入院させることができなかった。だから、当然、措置入院の症例のレポートは書けないし、それと、高齢化が進みに進んでいたその地方都市では、児童思春期の症例はなかなか来ない。
そういうわけで、私は医師5~7年目を外来のみの病院で過ごしたから、指定医を取ることはできなかった。
ちなみに、精神科専門医の資格は持ってます。
それは外来患者さんのレポート+口頭試問でOKなので。
精神保健指定医の資格を持っていないと何が不利かというと、持っていないと患者さんを強制的に入院させる権限がないということだ。
どんなに臨床経験が豊富な精神科医で、この患者さんは今すぐ入院させないと自殺のリスクが高い!と思っても、その患者さんが入院を拒否するなら、指定医の資格を持っていなければ入院させることができない。
だから、私の場合は、そういう患者さんのケースでは、指定医を持っている先生にちょいと診察というか顔見せをしてもらって、入院に持ち込む。
指定医と非指定医だと、患者さんに対して行うことができる権限が違うから、個人的にどこかの病院に就職しようとか思ったら、指定医を持っている精神科医の方が断然有利だ。
ちなみに、精神科専門医の資格は、持っていても持っていなくても何も変わりゃせん。持っているからといって、患者さんに対する診療費が上がりはしません。
仮に研修医が診察をしても、私が診察をしても、患者さんが負担する金額は同じどす。
ついでに言わせてもらうと、世間的には医学博士を持っている医師はすげ~ってことになると思うのだが、博士号を持っている=臨床能力が高いということにはなりまへん。
博士号を持っている人は、たいがい(あくまでもたいがいよ!)はマウス相手に実験をして、その結果を論文にして発表して、博士号を取得したわけであって、博士号を持っているからといって、非博士号取得者よりも診療の腕がすごいということにはなりまへん。
よく学生時代に聞いたコトバ。
「博士号は、足の裏の米ツブと一緒」
取らないと気持ち悪いけど、取ったからといってどうってことはない。
私は博士号は持っておりまへん。
大学医局側から「大学院に行かないか?」のお声がかからなかったからね。
お声がかからなかった当時は、ちょいと悔しい思いを感じなくはなかったけど、今から思えば、お声がかからなくって良かったと思う。
もし、私が大学院に入って、博士号を取ることになっていたなら、「不妊症治療のために休職したい」という私の要望は間違いなく却下されていただろうから。