前回のブログで、今日は21時まで患者さんと面談して疲れたということを書いた。

 これを読んだ人の中には、”私はもっと遅くまで仕事してるわよ! そのくらいで何で愚痴をこいてるのよ!”と思う人もいるかもしれない。


 はい。言い訳しません。

 わたし、甘いです。


 ”仕事がストレス”と言いながら、不眠および食欲不振は全く来していません!

 うつ病の患者さんがよく言うような、「朝、目が覚めて、仕事に行こうとは思うんですけど、身体が動かないんです」っていう症状も経験したことがございません!


 世間には「いつ寝てるの?」というようなハード・ワーキングをしている人がたくさんいることは知っている。

 私の友人の循環器科医は「昨日、0時まで心カテ(心臓カテーテル検査)をしてたよ」とケケケと笑いながらビールを飲んでいた。


 私が今の自分の仕事を忙しいと感じるのは、相対的なものなのだろう。

 何かの本に書いてあったが、「同僚の年収が1000万円で自分は800万円で働くのと、同僚の年収が500万円で自分は700万円で働くのと、どちらがいいですか?」と問われたら、多くの人が後者を選ぶと。

 だから、私の病院で他Drも私と同じくらいまでの時間まで外来患者さんの診察をしていて、私と同じくらいまでの時間まで入院患者さんの面談をしていたのなら、私は今の境遇に大した不満は抱かないのかもしれない。

 現に医者1年目の頃は、むやみに23時くらいまでは医局に残って勉強したり、同期や先輩とダベったりしていた。


 今日の帰りのバスの中で(乗客は私含めて2人)、そんなことを考えたわけだが、小説『ノーフォールト』(ドラマ『ギネ』の原作本)を読んでいたこともあって、”私は産婦人科医。今日は21時過ぎに帰宅の路につけるから、ラッキーね”と思い込んだら、いくらかは気分がラクになるかもしれないと考えて、妄想モードに入ろうと思った。

 ”私は産婦人科医”、”私は産婦人科医…”

 ダメや。私は精神科医なの~。


 次の思考。

 ”あと4カ月半で仕事を休めるんだから、なんとかなるじゃない。”

 ”4カ月半”、”4カ月半…”

 な~が~い~。ダメや。


 さらに次の思考。

 ”仕事が忙しいと言ったって、飯を食うに困ってるわけでもないし、睡眠時間もちゃんと取れるんだから、いいじゃんか。”

 でも、や~だ~。


 普段の診療では、患者さんに「物事をもっとポジティブに考えましょう」なんて言ったりしてるけど、できへんわ~~。


 そして、私のような患者さんが外来に来たのなら、私はおそらく「仕事の負担を軽減してもらえるように、上司にかけ合ってみたらどうですか?」と言うのだろうが、言えへんわ~~。我が病院のクール院長に。そんなことは…。


 そういうわけで、患者さんに対しては、ごもっともなことを偉そうにペラペラ話している私だが、自分のことはちゃんとできまへん。