今回の採集旅行前半で期待していたのは、森の中の一軒家に泊まってセセリ採りができるということでした。尾根沿いの車道から標高差350mほど一気に下った先に、ミゲールの知り合いの虫を扱っている家のお父さんが一人で山小屋にいるということでそこに泊まって採集するというプランでした。ミゲールにとっても2回目の訪問とのこと。Google Mapで調べると一帯の地名はPuesto Zipaというようでした。

 当初の予定は、5/14から3泊するというもの。5/14、荷物隊の前に出発、2か所ほど道を間違えて川まで下り、それからは川沿いを降下。川までが1時間ほど、川沿いに降下し、山小屋へ登り返すまでがさらに1時間。小屋までの登りがかなりきつく、ひざが笑い、攣りそうになって再度標高を稼いだのですが、道に迷って耕作地に出てしまい、仕方なく来た道を戻ったところ、荷物を馬の背に載せて登ってくるお父さんに遭遇。小さな沢が道になっていたのですが、そこで畑への道に入り込んでしまったようでした。小屋までがさらに1時間。合計3時間、6㎞弱の道のりでした。いつもこの道を歩いているお父さんたちは、通常2時間程度、急ぐと1時間といっていました。1時間はちょっと信じられないのですが、慣れれば2時間では歩けそうでした。ただし、沢沿いの道は滑りやすく、私は、3回ほど転んだのですが、最後に稜線に戻るときに転んで足を強打したことによって翌日から歩くのにも支障が出るアクシデントとなってしまいました。

 このようにしてたどり着いた山小屋ですが、確かに周辺に家はないのですが、基本的には耕作地の中。家主のお父さんは、大学で農業を学んだということで、小屋周辺には食べられる果樹やスパイスなどが植えられていて、牛を放牧していて、奥には手入れの良いカカオ畑が広がっていました。このような環境なので、小屋の周辺にセセリの姿はほとんどありませんでした。また、川までの道沿いにトラップを仕掛けたのですが、ほとんど来ません。5/15は川まで下りて、トラップを仕掛けたりひだまりでセセリを待ったのですが、ほとんど成果が上がりませんでした。そんなことから、山小屋は2泊で切り上げることにしました。2泊3日で採集したセセリは、わずか78頭。交尾器を抜いたものは17頭にとどまりました。体を酷使した割には成果がほとんどなかったということになります。あまり良い林がなかったことが一つ、セセリ採集には標高が高すぎたことがあって貧果となったものと思われます。

 上の図は、稜線から小屋までの3日間の行動記録です。帰りの道が違っているのは、川からの登り道を間違えたことによります。赤いバツ印が稜線の家なので、帰りはかなり遠回りになったことがわかると思います。遠回りではあるのですが、林の中の道なので、直射日光にさらされることがなく、登りとしては良い選択だったと思います。

 冒頭の写真の趣のある小屋は、台所と食事スペース。寝室は上の写真のトタン葺きの小屋となっています。寝室は3部屋ありました。

 メインの小屋の横には、水浴び場とトイレが2か所ありました。かなり離れた水源から水が引かれていて、トイレは水洗。水浴びもたっぷりの水を使うことができて、生活するには何の不自由もなさそうでした。これで、セセリが採れれば長期滞在もできそうでした。最後の写真のお父さんが65歳、娘さんは35歳だということでした。