牧場に愛車2号で行く。
空冷単気筒、おまけに6Vのクラシックマシン。
気持ち良い排気音を奏でる。いいぞ、いいぞ。
エンジンを労わりながら、スムーズにシフトチェンジをしながら山道を登る。
後ろから、聞き覚えのある排気音が聞こえてくる。
だけど、今日は展望台には行かないよ。
脇道に逸れるところで立ち止まって、お見送り。
あぁ、いいなぁ。ちょっと前までは「なんちゃってポルシェ」と言われていた4気筒のVWエンジンを積んだナローボディ。
それが今では「希少車」だとか何とか言われて、お値段高騰!
おまけに円高で、海外からの問い合わせがあるものだから、更に値段が上がるという(悪)循環。
あぁ、もうオイラの手に届く車じゃなくなったのね。
さようなら。
そうこうしているうちに牧場に到着。
事務所に行くと、オーナーさんの姿はなく、代わりに以前挨拶したことのある、山の反対側の牧場を経営している○○さんがいる。そういえば、見た覚えのない車が止まっていた。あれって、〇〇さんだったのか。
「おぉ、オイラくん、今日も暑いね」と○○さん。
「いやぁ、本当に暑いですね。今日はこっちですか」と聞くオイラ。
「オーナーさんがさ、ほら、おじいさんだからさ、暑くてダウンしたらしいんだよね。昨日さ、オーナーさんから連絡が来てさ、牧場に行けそうもないから見に行ってくれって。で、オーナーさんに病院に行くように言ったらさ、もう病院で寝てる、っていうじゃない。笑っちゃいけないけど、あの人の段取りはさすがだよ。ま、しばらくはこれそうもない。俺の牧場は家族でやっているから何とかなるけど、ここはオーナーさんだけだもんな。そりゃ無理よ」と〇〇さん。
「具合、悪いんですか?」とオイラが聞くと、「あの人さ、へそ曲がりでしょ。普段からクーラーつけないから。それでしょ、多分」という。ということは熱中症かもしれない。
続いて、「ちょっとさ、馬たちを見に行ってくれない?あんまり暑いから厩舎に入れてやろうと思ったんだけど、ここの厩舎、扇風機もないしミストもないからさ、朝、外に出してやったのよ。朝のうちはまだ涼しかったけど、ちょっと暑すぎるからさ。様子、見てきてくれない?」という。
いいすよ、と行って放牧場へ行く。
いつもは駆け寄ってくる犬も来ず。
馬の姿も、牛の姿も見えず。
よく見ると、放牧場内の奥の方、森との境目の辺りに馬たち、牛、犬が一緒になって木陰で休んでいるのが見える。
そりゃそうだな。
山の斜面の南側の、日差しが照りつけるところにあるのがこの牧場だもんな。
それにしても、みんな仲良し。
で、柵を潜って、声を掛けながら馬たちの方に向かうと、犬が駆け寄って来た。
いつものように元気いっぱいではないけれど、出迎えてくれたことに感謝。
馬たちも牛も暑そうだ。
バケツに水を汲んできて、緩く絞った濡れタオルで、馬たちや牛の背中を摩ってやる。
これで少しは涼しく感じてくれるといい。
それから、あまり直射日光が当たらないところに水を撒いて泥場を作ってやる。
早速、牛がやってきて泥あび。
多分、馬も泥浴びしたいだろう。
何度も水場と泥場を往復しているうちに、オイラの頭がくらくらして来たので、一旦中止。
犬が、オイラを見上げて「どうした?」という顔で付いてくる。
事務所に入って、水を一杯。
犬も、水をガブ飲み。
さて、一息ついたら、もう一回方放牧場に行こう!