ある某有名外資系自動車メーカーが日本再進出することを決め、再進出に関連する「プロジェクト」の提案を募集していることを知った。
再進出と言うこともあり、今度こそは失敗できないということで、複数のベンダー等に声を掛けて、つまりは、提案内容を比較して、最もフィット感のあるものを選ぶことで、現状を突破したいとの意図が見えた。
つまりは現状では「どん詰まっている」「社内の現存する人材では打つ手無し」というのが今の姿ということだろう。
そういう「退路を絶った」状態の先方から、「プロジェクト」に関する資料が提供されたのだが、正直オイラには荷が重い、と言うよりもどう見ても無理筋の内容だった。真面目な話、大失敗する前にやめた方が無難ですよ、と言いたくなるようなものだった。
だけれど、声を掛けられた有り難み、そして、その会社がオイラが好きな車を製造している企業だったので、せっかくだからオイラなりの現実的な提案をしてみよう、ダメで元々だ、と考え方を切り替えた。
でまぁ、提案のための準備にはやっぱりそれなりの時間と手間が掛かる。事実、この一週間はこれに掛り切りになった。
しかも、オンラインで外国にいるトップクラスの人たちに提案するということなので、先方に提案する内容に関して不明確なところやわかりにくい表現がないかどうかを入念にチェックし(特に日本的な商習慣や法律について)、要修正と思われるところは直前になるまで何度も修正・校正を重ねた。
提案内容に関しては、とにかく「嘘がないこと」を第一にした。例えばこちらで対応できないものについては、先方からのヘルプが必須であること、オイラが出来ることはここまでで、この先はもっと時間と人とお金が必要なこと、などが正直に伝わるようにした。
オイラが自らの嘘で火を被ることになんてことはまっぴら御免だ。
そうしておかないと、仮に受注した場合に「出来ません」ということになってしまうから。
加えて、想定問答についても考えられる範囲で準備をした。
一瞬、全くお金にならないことに時間と手間を掛けている自分は一体何をやっているんだ、という思いを持ってしまったのだけれど、まぁ、それはそれ。チャンスがあるのだからやるだけやってみようと、気持ちを切り替えた。
オンラインミーティングは、相手の国のビジネス時間帯に合わせることになったので、こちらにとっての早朝(というか夜更け)に実施することになった。
寝過ごしたら一発アウトなので、そんな敵前逃亡のような真似はしたくない。
そこで前の晩から寝ることを諦めて、その代わりにこちらから提案する内容を見返し、先方から出てくるであろう質問に対しての返答について、ほぼ暗唱できる程度まで読み込んで、自然な対応ができるよう準備した。
で、実際には、予定された時間をオーバーするくらい盛り上がって(内容はほぼクルマの話)、オンラインミーティングは無事終了した。
結果については後日改めて連絡するということだったけれど、正直、ダメ元だし、無理なものは無理と言っちゃったし、ダメならダメで次に行ってみようという気持ちなので、ワクワクするとかドキドキするとかいうことはなく、なんとか無事に済んでよかったな、という気持ちの方が大きかった。
無事ミーティングが終わって、ようやく風呂に入ってホッとできた。
体が暖かいうちに寝ようと思い、床に入ったのだが、気持ちが昂り過ぎて、目が冴えてしまい、部屋を暗くした程度では眠ることすらできない。
そろそろ新聞配達のバイクが来る時間帯だ。
それでも眠れない。
あれだけしっかり準備したのはしばらく振りだったので、それで気持ちに火が入ってしまったのだろうけれど、でも考えてみれば普段からこれくらいのフルパワーでやらないとダメなんだよなという気づきにもなった出来事なので、この結果がどうであれ、何事も経験だと考え直すようにした。
そんな気づきをこのブログに残しておくことにする。
いつまで経っても進歩のないモラトリアム。
それは恥ずかしながらオイラのことです。