※※ この本を読んで一言 ※※

ここまで日本の文化が根付いているイース帝国は、日本のことが大好きなんですね(笑)。

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1000頁以上にも渡る壮大な「空想未来旅行記」物語もようやく読み終わりました。

 

総括するとSMだスカトロだと噂されることよりも、人間が人間を奴隷として扱うインパクトが圧倒的に大きかったです。

 

そしてこの巻も予想通りヤプーやイース人の生活の紹介がほとんどでした。

最後にちょこっとクララとリンの関係のエピソードがあり、最終的にリンの意思によりクララと共にイースに残りヤプーとして生きる決意を表明して終わります。

 

地球に戻ることもできたのに、敢えてクララの元でヤプーとして生きる選択した時の気持ちは、その身に数々の体験をしたリンにしか分かりませんね。

少なくとも今の私なら地球に戻ることを選択しますし。

 

リンの決意をどう思うかは別にして、クララもこれからどんどん出世していくようですし、リンもヤプーとして存在感を発揮してくようなので、予想外の明るい終わり方だったと思います。

 

この巻でも日本語の語源や出来事はイース文明由来だったという珍説は面白いです。

そして前巻の【アンナ・テラスの巻】でも思いましたが、時間のパラドックスやバタフライエフェクトなんてものはどこ吹く風と言わんばかりに過去に干渉してます。

 

牛若丸と弁慶なんて何のために過去に干渉したんだという思いです。

ショーユやコケシのくだりはもうギャグにしか思えません。

 

さてヤプーなしでは成り立たないイース文明は、今の私たちの社会の電気以上に、ヤプーは必要不可欠のようです。

 

現代社会では商品や資源を大量生産して、大量消費、大量廃棄しているように、イース文明ではヤプーを大量生産、大量消費しているだけ・・ただしヤプーには意識も高い知性もあります。

 

貴族のヤプーへの道具扱い、果ては食糧にしてしまうことには憤慨しますが、では意識はあるけど高い知性のない牛や豚や鶏なら人間の都合で食糧としていいのか、馬や犬を人間の都合でレースをさせたり闘わせていいのか・・

 

イース人からそう問われたら、相手を納得させる答えができるでしょうか?

今すぐ牛や豚を食べなくする事はできるのでしょうか?

私は答えることができませんし、食べるのも止めたくありません。

一度根付いた習慣や文化を変えるのは相当な労力が伴うのでしょう。

 

ちなみに奴隷制度は紀元前の頃からあって、古代ローマにおいても奴隷に人権なんてなかったと言います。

まあ支配者側の人間にしたら奴隷に人権なんてあっては困るので当然ですけどね(汗)。

 

奴隷制度は人類が存続する限り続いていくのでしょう。

人類が精神的にもっと成熟して、物質も豊かになり奴隷のない、皆平等な社会ができたらいいですね。

 

最後のあとがきで、作者の沼正三さんが「筆を折る」と書かれていました。

 

なのでこれ以降は「家畜人ヤプー」は終わりですが、沼さん自身が正体不明の作家さんのようですから、許可さえとれれば、別の作家がイース文明の世界観を崩さずクララとリンの続きを書いたり、ほかのキャラクターを主人公にした外伝やスピンオフを書いてもいいのかも知れませんね。

 

まさに永遠に続く”ネバーエンディングストーリー!”

でもそうなったら永遠に日本人はヤプーとして残ってしまうので、それは嫌です。

 

(個人的評価)

面白さ    ☆

終わり方   ☆☆☆

バカバカしさ ☆☆☆☆

独創性    ☆☆☆☆☆