私にしては珍しく、同じ作家の別作品を連続で読みました。
普段は敢えて同じ作家を連続で読まないようにしているのですが、ちょうど「 四神金赤館銀青館不可能殺人 」を読み終わったときに図書館に行ったら、未入手であった新世界崩壊を見つけました。
これも何かの縁と思い借りて読みました。

 

倉阪鬼一郎さんのバカミスもこれで5作品目になり、物語の「流れ」みたいなものがなんとなく分かってきたせいか、途中でトリックが少しだけ分かるようになりました。

 

 

それでも分かったトリックはわずかであり、倉阪さんの綿密かつ周到に仕掛けられたトリック全体を読み解くことなど、私にはまだ100年早かったようです(笑)

 

 

館が風俗店(私はソープランドと思っていた)で、同じ建物にアメリカとイギリスと言う名のお店が入っているという予想は当たりました。

 

あれだけさんざん風俗に行く話が出てきたので分かりやすかったです。

 

そしてあまり当たりたくなかった人肉レストランも当ててしまいました(笑)

 

 

しかし舞台が日本だったと知った時はやられた!と思いました。

 

読んでいる途中で、舞台が風俗店だった場合、アメリカやイギリスに風俗ビルはあるのかと疑問に思っていました。そしてジョニーが風呂とプロは一文字違うと言うのでジョニーは日本人かと思ってましたが・・・やはり日本でしたか。

 

そして鈴木米には脱力です。

 

 

今回の物語は上小野田やジョニーが劇場型人間(演技型人間?)であったがため成り立つ話であるのでやや反則気味な気もしますが、ここでそれを言うのは野暮ですね。

 

 

しかも特殊捜査でもFBIでも何でもなく、ただの風俗通いだったとは・・上小野田が現実にいたらただの小心者のホラ吹きですね。

 

 

最大のトリックとも言える今回のフード用エレベーターを上段と下段の行の空白で表現なんて、私は100年経っても見破れません。

 

 

そして今回は「一階」と「二階」だった、お約束の埋め込まれた文字は、探してたのですが全く気がつきませんでした。一階と二階よりも分かりやすいはずの童話の中の被害者の名前も、童話を一生懸命見たんですが分かりませんでした。

 

 

バカミスとしてのトリックの事ばかり述べてきましたが、物語の内容としてもとても面白かったです。

 

私が今まで読んだ倉阪さんのバカミスでは、一番バカミスとして面白かったと思います。

 

初めは上小野田の自意識過剰さがウザいと思いましたが、後半だんだんそれが面白くなってきます。

 

 

そして物語としても極端なメタフィクションにならず、ぎりぎりのところで踏みとどまっていたからだとも思います。

 

途中で上小野田が「原稿用紙の枡目が・・」と言い出した時は、「不可能楽園<蒼色館> 」の方向に転んでしまうのかと冷や冷やしました。

 

幾多のバカミスを出版し、私たちを楽しませてくれる倉阪さんですが、これだけ毎回トリックを生み出したりトリックをアップグレードしていくと、さすがにネタ切れになってくるのではないかと心配になってきます。

 

 

袋小路にハマりながらも(笑)、これからも私たちを楽しませてくれるバカミスを出し続けていただければと切に願います。

 

 

(個人的評価)

 

面白さ      ☆☆☆
バカミス    ☆☆☆☆☆
構成の驚き  ☆☆☆☆☆
上小野田   ☆☆☆☆