この本も例によってインターネットでミステリー小説で検索して、面白そうなので買ってみました。

 

ホラー+推理は今まで読んだ中では事はなかったので楽しみでした。

 

それに近いものは、「黒い家 」は超常現象のホラーではなくサイコスリラー的なホラーでしたし、「冷たい校舎の時は止まる 」は超常現象的ではありましたが、推理モノとは言えないヒューマンドラマでしたから、この本にはちょっと期待していました。

 

読んだ感想は・・おそらく作者の三津田信三さんは地方の民間伝承や因習、歴史や文献などをよく研究されている方なのだと思います。

 

しかし物語としては正直どっちつかずでなんだかな~と言う感じです。


それは物語の中では「怪異など信じないが、説明できないこともある」ということで、基本「お化けなんてないさ♪」と超常現象には否定的です。

だから物語としてホラーではなくミステリーとしてもちょっと物足りなく、どっちつかずと言う意味です。

 

最初は特異な憑き物村の怪異とそこに住む人々の異様さが強調されていました。しかしその部分は面白さを感じず書が進みませんでした。

 

 
途中から刀城と漣三郎がメインになり、殺人事件が起きてから一気に推理モノっぽくなり面白くなってきました。

 

最後の解決編ではなぜ刀城にあんなに推理を二転三転させたのかよく分かりません。名探偵ではないから敢えてそうさせたのでしょうか。

 

 
しかし物語ですから一発で小霧だと指摘すればよかったのに・・結局犯人の指摘まで蓮次郎→聯太郎→二重人格の紗霧→小霧と四転しているので、途中思わず「ギャグか?」と声を出して突っ込んでしましました。

 

ちなみに私は蓮次郎が犯人だと思ってたので、解決編で最初に蓮次郎の名前が出たとき「当たった!!」と喜びましたがぬか喜びでした(笑)。

 

 

それに引っ張ったわりに何か盛り上がらない解決に感じました。

 

 

この物語の特徴で、刀城の「取材ノート」、「漣三郎の記述録より」、「紗霧の日記より」の3人の視点で物語が進んでいき、章の最初の「壱 巫女堂」や「弐 上屋の奥座敷」などでは主語がなく誰視点か?と疑問に思っていたら、「おわりに」でそれが”カカシ様視点(小霧視点)”であることが分かります。これも叙述トリックといえるのでしょうか。

 

 

それに事件の状況説明が文章で長々と続くことが多くて、私の頭の中では理解が追いつかず、そのまま先に読み進めました。

 

 

なお私は横溝正史シリーズは高校生から大学生にかけて本屋さんで売っている文庫本はほぼ買って読んでいました。

 

そこでこの本も閉鎖的な村、何代も前から続く因縁と対立、その土地の言い伝えに見立てられた殺人などの横溝的なテンプレートに近いものを想像していました。
この本もそれに倣っていましたが、しかしどうもその世界観にはまれませんでした。

 

あまりにもなんだかな~思ったので、解説の人はどう書いているのか知りたくなって読んでみました。

 

やはり解説でもそこに少しだけ触れていますが、結構私の心情を代弁してくれていました。「醸しだされる効果はシュールですらある」となかなか(愛のある)辛らつな事も述べられています。

 

この本と同時に、三津田さんの本でもう一冊「首無の如き祟るもの」を買っているので、これを読んでどう判断するかそれも楽しみです。

 

 

(個人的評価)

 

面白さ  ☆☆
トリック ☆☆☆
ホラー  ☆☆
横溝的  ☆