伊坂幸太郎さんの「アヒルと鴨のコインロッカー 」を借りて、読み終わったので読書の先輩に返そうとしところ、交換するかのように「重力ピエロ」を貸してくれました。

 

アヒルと鴨のコインロッカー 」の感想の中でタイトルの付け方ま映画「重力ピエロ」のタイトルの付け方も無理があると感想を書いたばかりで、そういえば読みたいな~と思っていた矢先でした。

 

偶然でびっくりしました。すばらしくタイムリーでした。

 

それに今まで小説→映画は「22年目の告白~私が殺人犯です~ 」がありますが、映画→小説の順番で見た物はなかったですし、映画自体2009年に見てだいぶ忘れているので、久しぶりに重力ピエロに出会えて、いつもと違うテンションでワクワクしながら読み始めました。

 

 

映画とは違うシーンがあったり、映画にないエピソードがあったりといろいろ思い出しながら読み、最後はとてもさわやかな気分で読み終わることができました。

 

春は人を殺しているんですけどね・・だけど泉水と春はせめてこれからは幸せになってほしいと思わずにいられません。

 

重力ピエロの題名の意味が映画だといまいちピンとこなかったものが、読んでようやく分かりました。

 

ただしピエロの空中ブランコで、泣き笑いのピエロが重力を消せるというのは相変わらず意味が分からなかったです。

 

しかし泉水と春が父親の見舞いの後に車に乗って、験担ぎの話を楽しそうにしているとき『この瞬間に重力が消えて、私たちの乗った白い四輪駆動車が宙に浮かんでも、ちっとも不思議ではないな、と思った。』の記述でようやく、「重力が消える」の意味を理解できました。

 

よく考えたら幸せな気分のときに「天にも昇る」と同じですね。

 

でもやっぱりタイトルはこじつけ感はあります(笑)。

 

 

そして物語の登場人物はみんなものすごく博識で、純文学や海外の文学、芸術、哲学、音楽、政治、科学、はては花言葉にも詳しくて、当たり前のように会話の中で文学の引用や専門用語をバンバン出してきます。

 

 
そして物語の中の人物と比較して、私はなんと物を知らない人間なんだろうと少しヘコみました。

私が泉水、春、夏子さん、黒澤と会話をしたら、彼らの意見の意味が理解できなくて会話が成り立たない気がします。

小説家はそれくらい物を知っていそうなので、伊坂さんも当たり前のようにその知識を登場人物に語らせているのかもしれません。

 

映画には出てこなかった探偵の黒澤のこの物語において、重要ではないですが、優秀な探偵としてかなり印象に残るキャラクターとして書かれています。

 

もしかしたら伊坂さんの他の作品の登場人物かと思ってしまいます。
 
さらに青葉山の橋で会った名前が分からない青年の存在意義がよく分かりません。チョイ役なのにふらっと現れ「神様のレシピ」について語る・・これも別の作品の登場人物なのでしょうか?

 

そういえばここでも整形美人がでてきましたね。映画では夏子さんは吉高由里子さんが演じており、小説ではオードリー・ヘプバーンと評されていました。

 

私は当ブログの「22年目の告白~私が殺人犯です~」で、整形手術について書いていますが、男性と違い、女性の場合は誰でも整形してオードリーや吉高さんになれるのではと思っていたりしています。しかし日本人の顔したオードリー・ヘプバーンってちょっと想像がつきませんね。

 

(個人的評価)

 

面白さ        ☆
謎           ☆
心情描写     ☆☆☆☆
葛城の悪人度 ☆