全力で東京をまもる。未来をひらく。私の提言 | 鈴木あきひろ 一言日記

全力で東京をまもる。未来をひらく。私の提言

1 現在の感染拡大状況と課題

都内では現在、感染力が極めて強いN501Y変異株による感染拡大が急速に進んでおり、新規感染者の8割以上が非常に感染力の強いN501Y変異株の感染になっております。また、感染経路不明の割合が、新規感染者の60%と高まっております。

感染経路不明な状況で、感染拡大が続いていくと爆発的感染拡大に繋がる恐れがあり、この度延長された緊急事態宣言下において、十分に警戒し、感染拡大をしっかり押さえていくことが、今後の東京の再生に大きく影響して参ります。

知事には改めて、都民の皆様のご理解、ご協力が得られますよう、人流抑制へのメリハリの効いた対策を講じていただきたいと思います。

また様々な変異株による感染拡大が懸念されており、昨年12月に東京iCDCに立ち上がった「新型コロナウイルス・ゲノム解析検討チーム」による遺伝子変異のスクリーニング検査の件数を増やし、国立感染症研究所と協力して的確な感染状況の把握をすることが今後の対策に大きく影響することから、国が求める検体の40%を目標に検査体制の拡充をすべきであります。そして今後、高齢者施設や繁華街における検体を増やし、適確な状況把握に努めるべきです。

またインドでは、新規感染者が1日40万人、死者も連日3000人を超える爆発的感染が拡大しており、その爆発的感染拡大をもたらしているL452R二重変異株による感染が5月6日時点で6人確認されており、日本人の6割が持つ白血球型免疫から逃れる能力が指摘されるL452R変異株の市中感染に対しても十分な警戒が求められております。

こうしたことから、国において5月10日より、インド、パキスタン、ネパールの3国を新たに「変異株流行国」に指定し、入国時において6日間の宿泊施設での待機と2回のPCR検査の陰性及びその後の2週間の自宅待機が義務付けられました。

しかし4月初旬から感染が急拡大しているインドを5月1日まで「変異株流行国・地域」に指定しておらず、6日間の宿泊待機では、体内のウイルス量が少ない方もあり、検査の精度に問題が生じ、その後の2週間の自宅待機は、事実上自由に行動できてしまう状況にあり、実際に毎日2~300人が連絡が付かない実態があり、大変憂慮すべき状況です。

こうしたことからも、水際対策は万全と言えず、対策が遅れたことからも、遺伝子変異のスクリーニング検査件数を増やし、疫学調査を進めるとともに、何よりも感染拡大を防いでいくことが求められます。

2 医療提供体制と課題

現在東京都の医療提供体制は、公表されている病床確保数が6044床有ります。日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国、人口1000人当たりの病床数は13床と加盟国平均の4.7床を大きく上回っております。その中で、東京都は広尾・豊島・荏原・多摩総合病院を中心に全ての患者の受け入れを積極的に取り組んでおります。入院者数は2321人(5/10)と増加傾向にあり、特に中等床以上の入院者が大半で、人手不足が要因で、病床使用率は42.2%と数字上は余力があるにも拘わらず、受け入れ困難事案が増加しております。そのため、医療機関に受け入れを3回以上断られ、救急車が現場に30分以上留まったケースと定義されている救急搬送困難事例は、前年比1.5倍と増えており、入院調整による自宅待機者も増加しており、急激な容態変化が懸念されており、自宅療養者が自ら酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの貸し出しを進め、入院が必要な方の自宅待機者や血中酸素飽和度が低下した方に対し、医師会の先生のご協力を頂き、往診による健康管理体制の充実を図り、重症化を防いでいくことが求められます。

また、入院調整は基本的に、各保健所が行っておりますが、現在の状況や感染者の重症度や基礎疾患の有無などによって、受け入れ人数が毎日変化していることから、「東京DMAT」の医師を更に活用し、都の入院調整本部機能を拡充すべきです。

その他私たちの強い要請により、民間病院との連携を強化して、回復期の患者の転院調整体制を都が中心となって行われるようになり、重症病床の有効活用に繋がっております。

更に、様々な症状が出るコロナ後遺症に対し、都において、都立、公社病院の計8(●都立病院:大塚・駒込・墨東・多摩総合 ●公社病院:東部・多摩南・大久保・多摩北)施設に「新型コロナウイルス感染症・後遺症相談室」を設置し、電話による相談を4月より始め、1月で216件の相談が寄せられ、後遺症に悩む若い人からの相談が半数以上を占めており、後遺症対策はこれからも大きな課題として、他の医療機関と連携して取り組んでいかなくてはなりません。

現在感染状況を示す、国の5つの指標においては、東京は10万人あたりの療養者数は最も深刻なステージ4の30人以上を大きく上回り50人となっており、10万人あたりの新規感染者数もステージ4の25人を超え37人と厳しい状況にあります。

こうした状況が示すように、医療崩壊を防ぎ医療提供体制を確保していくためには、コロナ対策の最前線で働く医療従事者の方々の負担を抑え、病床確保に向けた医療機関への支援を拡充し、何よりもこれ以上の感染拡大をさせない強い取り組みが求められます。

併せて、現在自宅療養者数が2155人と増加しており、宿泊療養者数1204人を倍近く上回っており、家庭内感染を防ぐことからも、原則宿泊療養の徹底を行うべきです。その際の宿泊療養施設の使用率が確保数(11施設4851室)の3割程度と低い状況において、退所後の消毒、清掃の運用を見直し、施設利用の効率化を図り、家庭内感染の防止と重症化を防いでいくことが大切です。

3 感染拡大防止対策と課題

感染拡大防止は、行政だけでできることではなく、一部の人間だけでできることでもありません。多くの都民のご理解とご協力が欠かせません。そのために、エビデンスに基づくメリハリのある対策が求められます。自粛要請に対するゴールを明確にし、ご都合主義でゴールを変えてはなりません。

都は、昨年の第二波に備えた東京アラート解除のゴールを、エビデンスに基づいた根拠を示さぬまま、知事の都合でずらし、その後の感染拡大を招き、都のコロナ対策への信頼を失墜させてしまいました。当時のコロナ対策のパフォーマンスが大きかったこともあり、反動は今日まで続いております。

また感染拡大防止の都の要請にご協力を頂けている事業者の方々に対し、長引くコロナ禍でご苦労されているその声をしっかりと受け止め、寄り添い、できる限りの支援を行うべきです。その際の協力金の支給には、民間の活力を利用して迅速な対応が求められます。

また「蔓延防止等重点措置」と違い、この度の緊急事態宣言下では、酒を提供する店舗の休業の要請が行われました。現在その要請に対する協力金は、実際に従った店舗にしか支給されませんが、店舗へのお酒を供給する酒販業者への協力金も検討すべきです。要請により、直接影響するわけですから当然です。

更に各店舗における感染防止対策へのアドバイスや支援制度、相談への対応の充実も欠かせません。

一方協力いただけない店舗に対しては、取り組みに対する不公平感をなくすためにも、徹底して協力を求め、断固とした対応を行うべきです。これまで事業者の声を受け止めた丁寧な説明もなく、記者会見における突然の発表で、協力をいただく立場の事業者との溝が、今日の混乱に繋がっておりますが、措置法による要請であるならば、毅然とした対応なくして今後の協力はますます得られなくなっていきます。

そして屋外における飲酒に対しても、都の職員が足を運び都民の声を受け止め、徹底した注意喚起と自粛へのご協力をお願いしていくことが大切です。

また高齢者への感染を防いでいくことが、重症化を防いでいく上で大変重要です。特に高齢者や施設における感染拡大・クラスターの発生が多く報告されております。高齢者施設の感染防止対策は、施設の状況や入所者の介護状況から困難の施設も多いですが、陰圧設備の導入等、区市町村と連携して感染防止対策の支援を拡充していくことが大切です。更に検査件数を増やし、施設内の健康管理を徹底していくことも大切であります。現在重症化リスクの高い高齢者が入所・入院している施設の職員等を対象として、集中的、定期的なPCR検査が始まりましたが、感染力の高い変異株における感染拡大を防いでいくために、会社などにもご協力を頂き、定期的な検査を実施し、感染拡大を防いでいくことが大切だと思います。この件は、コロナ対策が押さえ込みに成功した国々の事例から、第一波の時より要請しておりますが、未だに1日の検査件数は6000~8000件に留まっています。

このように、メリハリのある対策を都民のご理解のもと進め、感染拡大を防ぎ、この困難を乗り切っていくことが大切です。

4 ワクチン接種の迅速な実施と課題

現在の緊急事態宣言下における感染防止対策と併せて収束に向けた切り札になるのが、速やかなワクチン接種による集団免疫の獲得です。そのために、今年2月の段階で抗体保有率が1.35と低い状況において、速やかにワクチン接種を実施していくことが必要です。

4月より都内の医療従事者向けのワクチン接種が始まりましたが、ワクチン接種予約サイトのウェブがダウンしてしまい、大きな混乱が生じました。特に、感染拡大を防ぐ切り札である速やかなワクチン接種の担い手である医療従事者への接種が滞ったことは問題であり、デジタルファーストを標榜している都において、今回の障害を検証し、今月からの高齢者へのワクチン接種の本格実施に向けて万全の体制を構築していくことが重要です。

特にITを使い慣れていない高齢者のデジタルデバイドの解消に向け、相談センターの回線数を増やし、連絡先の周知を徹底し、接種の担い手の確保も含め、区市町村への支援を都が積極的に行っていくことが求められます。

大田区内では、9つの集団接種会場と16の病院と、180以上の診療所のご協力を頂き、5月21日以降予約が始まります。接種は5月25日の週より区内集団接種会場より始まり、医療機関ごとに実施日が決定し実施されます。診療所では6/1以降発表されますが(先行で5/25からあらい内科・脳神経クリニック(糀谷)・池上みなみ内科クリニック(池上)・鈴木クリニック(大森西)・はすぬまクリニック(西蒲田)で開始されます)、接種の予約は、インターネットを使い24時間予約が取れる予約受付システムとワクチン接種コールセンター(03-6629-6342)で日曜・祝日を除く8:30~17:15で電話を受け付けております。高齢者が17万4千人と大変多い状況において、予約時の混乱が生じないよう、その鍵となるワクチン相談センターのきめ細かい対応を大田区に求めて参ります。

特に、ワクチンに対する相談もコールセンターで受け付けることになっておりますが、ご高齢の方々が様々な不安を抱えている中で、丁寧に寄り添い親切に対応していくことが大切であり、大田区の各出張所にワクチン接種に関する全ての相談を受け付ける窓口を設置するよう区長に要請しました。一日も早く、安心・安全の中でワクチン接種が実現されますよう取り組んで参ります。

5 都民生活を支える対策と課題

〈雇用対策〉

昨年の日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、最終的に実質GDPは27兆円の落ち込みとなり、リーマンショックに匹敵する減少となりました。この様な景気後退時に、企業倒産が急増すると、長期失業者や就業意欲喪失者が増え、社会不安を増幅させます。特に、経済基盤の弱い中小・小規模事業者が全企業の99.7%を占め、雇用の1/4を受け入れている現状において、企業倒産を防ぎ、中小・小規模企業への支援を国や区市町村と連携して取り組んでいくことが重要です。

また、感染拡大により企業の業績が悪化していくと、解雇や雇い止めが増加していきます。そのために雇用対策を都の重要施策として取り組んで参ります。

具体的に今年度、新たに2万人を超える雇用創出を展開します。

内容は、派遣会社に登録した支援者を一人最大3社まで、期間を一社2ヶ月、約5000人をトライアル就業として派遣し、その中で正社員として採用した企業に、就職氷河期世代の求職者の場合は最大90万円、その他世代は最大60万円の助成をして雇用創出を行います。

また子育てなどの理由でテレワークを希望する女性の雇用拡大や職業スキル向上に向けた取り組みとして、東京しごとセンターや都立職業能力開発センター等を通じ、デジタル人材育成など多角的な支援を展開して参ります。

更に今後、非正規労働者の削減が懸念されることから、シングルで子育てをされている非正規雇用の方を新たに採用する企業へ助成金を支給する対策の創設を実現して参ります。

〈景気対策〉

経済の6割を占める消費支出は、コロナ禍における自粛により、前年比で5.3%減少し、2001年以降最大の落ち込みとなりました。特に、観光・外食、サービス産業や化粧品等の生活用品産業は大変厳しい状況です。その一方、巣ごもりの影響により増益となっている企業もあり、二極化した消費動向を注視し、全体的な景気後退による個人所得の減少で先行不透明な景気を支えていくことも重要です。

〈未来への政策〉

戦後75年が過ぎ、最大の危機に直面している私たちは、都民の命と生活を守ることを最優先にしながら、その先の未来へと羽ばたくべく、コロナ禍で浮き彫りとなった課題を克服する構造改革を大胆に進めなければなりません。

そのために、デジタル・ビックデータなどを活用し、課題である中小企業の生産性向上の実現とイノベーションの創出、グリーン社会の実現、活力ある地方創生の実現を目指す戦略が重要です。

都においては、国と連携して、AI、IoT、5Gなどの技術革新にいち早く取り組んで、デジタル化を加速させ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、付加価値の高い製品・サービスの創出に繋げていく取り組みが求められます。

具体的には、私も視察に伺った産業技術研究センターに5G環境を備えた「DX推進センター」の開設を通し、中小企業の5Gを活用した生産性向上やイノベーションに向けた実証実験を支援し、更にはDXやイノベーション推進の設備投資支援、大学等との連携により行う技術、製品開発等への支援、あらゆる産業や生活の場面で5Gやビックデータなど最先端技術を駆使した質の高いサービスが提供される【(東京版Society 5.0)「スマート」東京】への取り組みにより、社会変革に対応した東京の未来を切り開いていかねばなりません。

また、世界から選ばれる東京の実現に向けて、東京に世界規模のESGの知見・技術・資金が集積する金融都市を実現させるために、国内外からESG資金を集める「新たなマーケットの創設」に向けた検討を進め、都の出資を呼び水とした水素ステーションなどのグリーンエネルギー拠点や再生可能エネルギーの発電所等の推進を後押しするグリーンファイナンス市場の拡大に取り組んでいくことも大切です。そのために、金融系外国企業の誘致を進め、フィンテックに取り組むスタートアップ等へファンドを創設した支援を推進していくことも必要です。

更にSDGsやサステナブル・リカバリーを視点に、CO2排出量実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」を実現し、都内の新車販売を2030年までに、二輪車は2035年までに全て非ガソリン化する目標実現に向け、更なるZEV(ゼロエミッションビークル)の導入促進も求められます。

コロナ禍で、世界に後れを取るデジタル化など、我が国の課題が否応なく見せつけられ、構造的な改革を進めていく重要性が示されました。

また私たちの生活や価値観も大きく変わり、コロナ以前の日常にただ戻るのではなく、持続可能な回復を実現する「サステナブル・リカバリー」を通し、新しい東京へ進化していかねばなりません。

そのために今、「全力で東京をまもり、未来をひらく」決意を持って、力強く進んで参ります。