医療的ケア児の支援強化へ | 鈴木あきひろ 一言日記

医療的ケア児の支援強化へ

医療的な介護が必要な「医療的ケア児」への支援を強化する「医療的ケア児支援法」が国会で検討されております。この法案は、国や自治体、学校に対し、ケア児に必要な対応を責務とすることが柱となっており、児童福祉法で定めるあらゆる児童がもつべき権利が保障され、更なる療育の強化に繋がるとても重要な法案です。そして所管する地方自治体として、実際に医療的ケアが必要な子供をもつご家族からの長きに亘る要望が形となった画期的なエポックメイキングとなる法案として、これからのインクルーシブな社会に向けた大きな一歩と期待されるものです。

一般的にケア児は、自分で呼吸や食事、排泄が困難で、人工呼吸器や管を使った栄養摂取、痰の吸引などの日常的ケアが必要な未成年児を指し、2019年度の推計では、約2万人に上り、医療技術の進歩により、この10年間で2倍に増加しております。

そもそも日本における障害児の分類は、昭和41年に定義された「大島分類」に基づき、身体をコントロールする力と知的能力がどの程度であるかの2つの軸で判定されており、知的な遅れもなく、自分で歩くこともできるが、経管栄養のチューブが必要な医療的ケア児は想定に入っておらず、この分類では「障害がない」とされてきました。そのため既存の障害児支援の法制度の枠組みに入ることができず、国や自治体の支援が受けられない状況が続きました。

この様な背景の中、医療的ケア児は多くの場合、普通の認可保育所や幼稚園に通えず、親が24時間子供に付きっ切りとなり、身体的、精神的な負担や経済的な困窮を引き起こし、家庭環境の悪化に繋がるケースが多くなり、レスパイト支援など家庭の負担を軽減する必要性が指摘されておりました。

こうした状況を踏まえ、法案では基本理念として、ケア児と家庭を社会全体で支え、居住地にかかわらず、適切な支援を受けられるようにすることなどを掲げて、相談体制の強化のため、都道府県ごとに、「医療的ケア児支援センター」を設置することが盛り込まれ、都においても区市町村と連携して、きめ細かい対応を検討しております。

更に、必要に応じて学校や保育所、幼稚園に看護師や介護福祉士の配置が、これからは責務として求められることから、早急に関係機関と連携して、担い手確保に向け全力で取り組んでいかねばなりません。(因みに看護師においては、訪問看護師数は、平成13年から平成27年までに9.5倍に増えておりますが、それでも医療的ケア児の増加に追い付かない状況です。)また社会全体で支える環境に向けて、支援への理解と啓発も重要な取り組みです。今後国会で法案が通り、具体的な対応が示されるようでありますが、長年に亘る切実な思いをしっかりと受け止め、国や市区町村と連携し、東京が進めるSDGsの取り組みとして全力で進めて参ります。