意見書案に対する都議会自民党としての見解について、幹事長として談話を発表いたしました。 | 鈴木あきひろ 一言日記

意見書案に対する都議会自民党としての見解について、幹事長として談話を発表いたしました。

令和2年都議会第一回定例会において、複数会派から「婚外子差別撤廃のための戸籍法の改正に関する意見書(案)」及び「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准に関する意見書(案)」が提出されました。

戸籍法も女性差別撤廃条約も、国の根本に関わる重要案件であり、性急に法を改正することや、条約を締結することがあってはなりません。戸籍制度のあり方、条約に付随する個人通報制度と日本の司法制度との関係など、慎重に検討することが必要です。このため、これらの意見書について、都議会自民党は下記の通り対応し、談話を発表させていただきました。

 

1.婚外子差別撤廃のための戸籍法の改正に関する意見書(案)について

昨年、婚外子への相続のあり方を見直す民法改正が臨時国会で成立しました。これは、婚外子か否かで相続権を制限しないという趣旨です。

一方、摘出氏と非摘出子を区別し、戸籍にその旨を記載していることについては、最高裁は違憲であるとは判断しませんでした。つまり、相続の要件に関する判断は変更されましたが、戸籍制度本体は意見ではないということです。

現在、婚外子の記載に関しては、戸籍法を改正すべきとの意見がある一方で、摘出子と非摘出子は区別し、続柄についても明記しておくべきとの意見もあり賛否両論状態となっています。

本件は、日本における戸籍制度の役割と戸籍に対する国民の意識など、制度全体を慎重に検討しながら、判断していく必要があります。

現時点で、都議会として、戸籍法を改正すべきとの立場に立って、法改正を国に要請するという状況にはありません。今後、議論に議論を重ね、国民・都民の合意形成を図った上で、決定すべきであります。

 

2.女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准に関する意見書(案)について

国連の女性差別撤廃条約選択議定書を批准するには、議定書が定める個人通報制度を受け入れることが前提となります。

個人通報制度とは、例えば、人権弾圧が厳しい国や地域などにおいて、権利が侵害された被害者等が、条約に基づき設置された委員会に通報すると、委員会が見解又は勧告を各締約国等に通知する制度です。委員会の見解には法的拘束力はありませんが、基本的に、締約国は見解へのフォローアップを求められることになります。

そして、日本では、これまで、子供の権利条約、障害者権利条約、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約や自由権規約、社会権規約などの条約や規約で、この個人通報制度を受け入れることが求められています。

しかし、日本政府は、この個人通報制度の受入は、我が国の司法制度や立法政策に大きな影響を及ぼすことになり、その実施体制等について大きな課題があり、その是非について各方面から様々な意見が寄せられており、引き続き、真剣に検討を進めていくとして、現在、個人通報制度受入れを求められている条約や規約には批准していません。

そうした状況にある中、個人通報制度の受入れが求められる条約の内、女性差別撤廃条約選択議定書だけを取り上げ、その批准を国に要望するというのは、こうした現状を全く理解していないものであると言わざるを得ません。

以上の理由により、我が党は、本意見書の共同提出者として、名を連ねませんでした。