平成30年第三回定例会討論(最終日 10月5日) | 鈴木あきひろ 一言日記

平成30年第三回定例会討論(最終日 10月5日)

平成30年第三回定例会最終日、第169号「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」に反対する立場から我が会派は、下記の討論を行いました。

 

はじめに、憲法の三原則の基本的人権に関わる人権条例について述べます。

人権問題は、都民の日常生活、職場、家庭、地域社会など、あらゆる場面に影響を及ぼす重大なテーマです。

そのため、先日の我が党の代表質問でも指摘しましたが、人権を巡るこれまでの歴史認識の下、この問題に取り組むには、時間とプロセスを何よりも大切にしなくてはならないのです。

そのため、人権施策を進めていくためには、現状と課題について、丁寧かつ慎重に調査を進め、なによりも、当事者の方々の悩みや不安の解消を最優先すべきです。

そして、差別解消を声高に主張する前に、人権問題に対する正しい知識を広め、お互いの人権に対して、理解増進に努めることが最も大切であります。

しかし、本定例会に上程された条例案は、オリンピック憲章を引き合いに、人権尊重の理念を実現すると言いながら、実態は、性の多様性とヘイトスピーチだけに特化し、これまで、都が取り組んでいる17項目に及び人権課題との整合性が取れていません。

また、条例提案の手順においても、政府の動きを踏まえることもなく、区市町村との連携もおざなりで、関係団体事業者等から意見聴取することすらありませんでした。

そして、条例案の概要のみのパブリックコメントでは、都民から、条例制定そのものへの疑問の声が多く寄せられましたが、良識ある声は、ほとんど無視されました。

また、議会には正式な条例案を定例会の直前に出すという、余りにも独善的なものでありました。

更に、都議会の審議においても、参考人招致を行い、議会として広く都民の声を伺うことなく、わずか一日の委員会審議で結論を出すという前代未聞の暴挙となりました。

内容においても手続きにおいても、全てが拙速、杜撰であると言わざるを得ません。

このまま条例化すれば、差別解消どころか、言葉狩りなどの意図せぬ対立を煽り、結果として、性的少数者の方々の孤立を深めることになります。

また、ヘイトスピーチを防止する規定の条文についても、不当な差別言動の定義が曖昧であり、憲法上の集会の自由、表現の自由、思想・良心の自由を制限することにもなりかねない危険性があり、しかも、その他の内容を条例制定後に都民に公表するというのは、信じがたい暴挙です。

人権条例は、人権問題をPRする手段ではありません。

国内で最初だとか、オリンピックに向けて、と言うことではなく、都民の人権意識の啓発・向上にどのように繋がっていくのかが、大事なのです。

こうしたことから、都議会自民党は、今回の人権条例を巡る知事の提案と都議会での取り扱いに強く抗議するとともに、これまで、都民とともに人権施策を進めてきた、東京都の人権行政に、大きな汚点を残すものであることを指摘し、改めて、本案は、継続審査とすべきことを強く訴えます。