いつかの“明日”に手が届く!
どうも、当ブログ管理人のスリッパです。
先に謝罪を。物販の列に並んだばかりに、上映時間が始まってからの入場になってしまい、冒頭をちゃんと観れておりません。
↑がその戦利品……後で知った話、通販も存在したようなので、そちらでパンフレットを入手するという手段もあったにはあったようなのですが……私って、ほんと、バカ。
ですので、60分のうち50分弱しか観ていない人間が書きます「今の気持ち」をぶつけただけの駄文になりますので、そういうのは抵抗があるという方はどうぞここでブラウザバックをしてください。
では、この先は身勝手極まりない男の身勝手な意見ですので、あしからず。
※当記事はネタバレを含みます。視聴後の閲覧を強く……本当にめちゃくちゃ強く推奨いたします。また、一部不快感を覚える文言があるかと思いますが、予めご了承下さい。
『仮面ライダーオーズ/OOO
10th 復活のコアメダル』
脚本:毛利亘宏
監督:田﨑竜太
~ストーリー~
西暦2021年、世界は混沌と恐怖に包まれていた。
古代オーズが、800年前から時を超えよみがえったのだ。
人類が絶滅の危機に瀕する中、旅に出ていた火野映司が帰還。
レジスタンスとして、後藤慎太郎や伊達明、泉比奈たちとともに戦っていた。
アンクと再会を果たす「いつかの明日」は訪れるのか……。
(公式サイトより抜粋↓)
~終わりを迎え、旅立つ君へ~
正直に言って、ここで書かなければもうずっと書けないだろうと思いから、今キーボードを叩いております。
そのくらいに衝撃度は高く、終盤では私の近くの席からずっと小さくすすり泣く声が聞こえておりました。たぶんそのラストのせいだろうと感じるばかりです。
もちろん、純粋に「火野映司とアンクがいる」というだけで感涙するのも頷けますが。おそらく、内容から涙を禁じ得なかったのだろうなと邪推するばかり……。
おそらく人によっては「いくら完結編と謳っていても、こんなの自分が観たかった『オーズ』じゃない」と仰る方もいるのだろうと思います。もちろん逆もまた然りですが。
こうした賛否両論に分かれるだろうことは、まさにパンフレットでも役者・脚本家・監督それぞれが口にするところで。
そこで、先に私の結論を申し上げたい。
私はこの「完結編」を、肯定します。
では、いったい何がそこまで衝撃的で賛否両論がわかれるのか、なるべく簡単にお伝えしたい。
復活した800年前の王、その力は絶大で。
現代にその力を手にする火野映司=仮面ライダーオーズは、力及ばず敗北。
そこに「たまたま逃げ遅れた少女」がいて、自分の欲望で人類を滅ぼしに掛かっている王がすることは一つしかなく。
ボロボロの映司が盾となることでしか、少女を守る術はなかった。
つまるところ、この時点で火野映司は死んでしまった、というお話。
ここで巧妙だなと思うのは、その映司の身体を維持する人造グリード《ゴーダ》の存在。
前々から鴻上ファウンデーションは、800年前の錬金術師たちがコアメダルを創り出したように、新たなコアメダルの開発を続けていて。
かつての『MOVIE大戦MEGA MAX』をご覧になった方はご存知の通り、それが未来に新たなライダーを創っちゃったりする原因にもなっております。
で、それから十年も経つ中で、あの鴻上会長が目を付けたのが、火野映司の《欲望》。
オーズという底知れない力、その全てのコアメダルの力を使ってもなお溢れない器としての存在感。
まさしく「新たなグリードを生み出すなら」と、そのモデルとしてはうってつけの人材ではありまして。
かくして、火野映司のデータを基に生み出された《ゴーダムカデ》《ゴーダハチ》《ゴーダアリ》のメダルから誕生したグリード=ゴーダは、瀕死の火野映司に憑りつく形で登場。
(マジで映司そのものをトレースした感じと、でもやっぱり漏れ出すゴーダ自身の感じが、またすごい良い表現で……ゴーダの声を担当された日野聡さん、やっぱりすごいわ……よもやよもや)
TVシリーズとの対比が効いているのもココだなという印象。
十年前、復活したグリードたちの中で、右手のみという不完全な復活しかできなかったアンク。
彼は偶然にも瀕死の重傷を負った刑事=泉信吾……比奈ちゃんのお兄さんの肉体に憑りつくことで、結果的にお兄さんを生かすことに繋がっていたという経緯があります。
つまりグリードが身体を乗っ取っているうちは、その肉体の本来の持ち主は死なずに済む。
その「人質」とも「共生関係」とも取れるロジックは、物語の最初から提示されていたと。
(とりあえず、お兄さんの身体を乗っ取るアンクが観られる無料のお試し1~2話を)
十年前は「お兄さんを助けるために、アンクと組む」というのが出発点だった映司と比奈。
それが最終的には、お兄さんの生命力は復活し、アンクは欲していた《命》の意味を実感したうえで満足して消えていくというものでした。
だからこそ、壊れていく自らのコアメダルを託して映司を変身させた……。
(あの最終回は、何度観ても、胸が熱くなる……!)
けれど今回は、「800年前の王がグリード四体と共に猛威を振るっている」という前提の上で、「火野映司の命は、文字通りゴーダが握っている」という話。
ゴーダ自身も、オーズの協力を得られるうえ映司も死なずに済む、というのがこの状況では得しかない話だとアンクに持ち掛けます。
対してアンクも「映司が生きている・復活できる可能性」を信じていると比奈に打ち明けます。
ゴーダを利用して800年前の王を退け、映司も取り返すつもりであることを、かつて同じ境遇だった兄の復活を信じ続けた比奈に話すシーンが、またグッとくる。
しかし、現実は非情。
古代の王は強く、アンクとのコンビもちぐはぐなゴーダ映司は敗北。
そこで機転を利かせたアンクが、取り込まれるふりをして王の中に入り込み、プトティラコンボのメダルを回収&王を抑え込みます。
プトティラの凄まじい力をぶつけ、アンクがいることで満足に動けなくなった王を撃破……!
アンク自身も足りなかった自分のコアメダルを回収して肉体を再構成で、めでたしめでたし。
と、そんなわけもなく。
やはりゴーダも、集合したコアメダルの膨大な力に惹かれ、それを取り込んで仮面ライダーゴーダに変身を遂げて……。
アンクのコアメダルも回収しようと襲い掛かり、圧倒するゴーダ。
憑代にした映司の抵抗にも、肉体を分離することでむしろ軽くなった印象さえ。
(おそらくここ、相当数のコアメダルとセルメダルを王の残骸から回収したことで、映司に依存して肉体を維持する必要がなくなったのかな、と邪推いたしまする)
何とか映司の肉体に入り込んで、死なせまいとするアンク。
そこへ駆けつける伊達さん&後藤さんのバース&バースXの奮戦!!
……しかし、やはりコアメダルの数が違うからか、まだ試作段階のシステムだからか、とかくゴーダの勢いは止まらず。
その最中、アンクは映司と精神の世界で対話します。
どうして自分の命まで懸けて、他人の命なんか助けようとしたのか、と。
俺がそうしたかったから。
そう、いつも火野映司という男はこうでした。
自分の命より、他者の命。手を伸ばせば救えるのなら、諦めたくない。
かつて自分の目の前で喪われた小さな命があって、それを救えなかった自分がずっと悔しかったからなのでしょう。
だから、自分が死ぬと理屈ではわかっていても、それでも盾になったことに後悔なんてなくて。
それでもずっと望んでいた「いつかの明日」……アンクとちゃんと会える、その日を願ってしまって。
だからアンクは復活できて、その代償のように映司は死を選んだと。
脚本家の毛利亘宏先生や田﨑竜太監督のコメントでも、これに関しては「火野映司の業」というような話がありまして。
先に紹介した映画『MOVIE大戦MEGA MAX』や、後のライダー集合映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL』などでも、アンクが復活した描写はあり、けれどこの「オーズ完結編」では安易な復活など誰も望んでいないだろうと。
私自身としても、それらの映画が好きな理由として「アンクの復活に芯の通ったものを感じられる」というのが挙げられます。
無論、TV放送終了後で間もないタイミングに公開された『MOVIE大戦MEGA MAX』では、40年後の未来に至るまでに「いつかの明日」があったのだと、希望を感じさせる構築で。
対して『平成ジェネレーションズFINAL』は、逆に財団Xの疑似グリードたちのメダルを媒介にしてアンクの意識を投影した結果の疑似的な復活という形だったのも嬉しいポイントだったな、と。
では今回は。
客演ではない『オーズ』の物語において、アンクの復活する「いつかの明日」をどう描くか。
TVシリーズを一年間きちんと観た私自身としても、やはりアンクの存在を抜きにして『オーズ』は語れないし、いわゆるもう一人の主人公でもあるという印象は今も消えておりません。
前作『W』が「互いに贖罪のため、手を取り合った相棒」というものだったのに対して。
この『オーズ』は「敵の敵は味方……けれど、いつ敵になるかも不明なコンビ」というところから「互いの信念を理解し、それを貫き通して戦い抜いた相棒」になるというエモさだった。
それはまさに、暴走するゴーダを止めるために、二人が変身するタジャドルコンボ エタニティを見れば、どれほどの絆かは一目瞭然で。
ちなみにここの演出、TV最終決戦が「アンクの幻影が共に戦う」というのに対しての、今回は「映司の幻影が共に戦う」という、非常に素敵な造りになっているのも嬉しい感じ。
そうしてアンクのメダル七枚をスキャンして、これまで散々に不遇と言われたオーズのライダーキックをオマージュしたキック技でゴーダを撃破するというのも、嬉しい限り。
映司役の渡部秀さん、生身ライダーキックポーズ、グレイトでしたぜ!!
けれど映司は、結果的には死を選んでしまった。
アンクを憑依させてさえいれば、生き残る可能性はあったのに。
ここがおそらく最も賛否両論の分かれ道になるポイントかと思います。
どうして、映司は死を選んだのか。
個人的な解釈を申し上げれば、それはきっと……。
――やっと満足できたから。
だったのかなと。
映司はTV最終回で、割れたアンクのメダルを手に旅へ出ました。それはアンクと再会する「いつかの明日」へ向けての旅立ちだった。
後輩ライダーの映画での刹那的な再会こそあれど、しかしそれは、本当の意味でアンクが戻ってきたわけでもないことで。
しかし、自らの命を代償にしたことで、アンクは帰ってきた。
なら、それが一番に望ましい結末だと思ったのかな、と。
悲しいことに、グリード化したことがあっても映司はただの人間でしかなく。
対してアンクは、そもそも人間ではないメダルの怪物でしかなく。
おそらく、共に同じ時間を永遠に生き続けることは、この世界では無理なのでしょう。
でも、アンクがずっと望んでいた《世界を味わうことができる命》を与えられたのなら。
それはきっと、オーズの力と共に「どこまでも届く(人を救いうる)手」を実感させてくれた恩返しでもあるのかなと。
おまけに、ゴーダは「死ぬのが運命だった」と言っていたはずの、あの古代の王から助けようとした女の子も生きていて。
独りでは届かないと哀しみに打ちひしがれてきた火野映司にとって、きっとこれは満足のいく結果だったのだろうと。そんな風に、私は思うのです。
火野映司の目を閉じるアンクの手は、それだけ心をぎゅっと締め付ける。
その厳粛なラストは、キャストたちの姿を映えさせる夕日のおかげで余計に感情を揺さぶってきて。
まさに、天気までもが味方したワンシーン。
(『クウガ』のラストも、五代雄介の気持ちを完璧に表現したような空模様になったというのは有名な話で……)
生きてこそ感じられるものがある。
それは間違いのない正しいことでしょう。
けれど、死んでも叶えて良かったと思える願いだって、存在する。
たとえ視聴者である私の心を抉るエンディングではあっても。
彼にとって何より「満足できる」と感じた終わりならば。
それもまた、幸せ、と呼んでいい。
残された側には苦しいことではありますが……。
それでも何の満足も得られない、欲望を満たせない終わりより、ずっと良いんだろうと思いたい。
ゆえに私は、この「完結編」を肯定する側です。
永遠に願いが叶わずに生き続けるのも人らしさ、でも願いが叶ったことでようやく旅立てるのもまた人の在り方だと、そう言いたい。
正直、ここまで物語の進みがどうだったかとか色々と整理しようとして逆に散らかした気もしますが、とりあえず私は賛辞を述べたい。
火野映司役の渡部秀さんをはじめ、多くのキャストさん&スタッフさんの全力投球に感謝を。
当時、高校生で……3.11の震災で(そこまで大したダメージなどなかった側ではありますが)心が塞ぎ込みそうだった時も、助けてくれたのは『オーズ』だったなと。
(いやそうはならんやろ、と思う部分も今にして思えば確かにありますが、それでも伝えようとしたことの熱自体は間違いなく本物だったと信じたいこちらの映画……やはり嫌いになれない)
きっとこれからも、ことあるごとに観返す『仮面ライダーオーズ/OOO』という傑作。
その最後に相応しい《欲望》を詰め込んだ挑戦と、それを表現するために力を尽くしてくれた全ての人へ拍手を。
終わりを迎え、旅立つ君へ。
本当にありがとう。ずっと大好きだ。
いやいや、まだ終わらんよ。
今回の失敗を踏まえて、来週また観に行きたいと思います。今度は冒頭から全部がっつりと。
というか明日からはTTFCでバースXの秘話も配信されるとか……?
本当に、人間って欲望に正直だなぁ!
などと笑いつつ、私も大好きだからね、きっと観るとも!
ではでは、若干の寝不足もあってエネルギー切れしたので、今回はこの辺で。
こんなところまで読んでいただき、どうもありがとうございました。
どうか貴方の《欲望》が満たされる時も、最上の日でありますように。