仮面ライダークウガ EPISODE17 | Slipperの部屋

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『仮面ライダー』等の特撮ヒーローを愛好しております。気ままに書きますので不定期更新で失礼。

なぜクウガは戦うのか

 

 

 どうも、スリッパです。

 ちょっと自分の一次創作が大詰めだったため、遅ればせながらも今筆を取っております(いや、iPadを使っているので、厳密には筆ではないのですが)。

 

 

『仮面ライダークウガ』

EPISODE17 臨戦

シリーズ構成:荒川稔久

脚本:きだつよし、村山桂

アクション監督:金田治、山田一善

監督:鈴村展弘

 

 

☆「臨戦」するのは何の為か☆

 

 今回、制作上の都合で総集編を作ることになったという回と侮るなかれ。

 むしろ今まで「?」と思っていた情報を整理してくださるありがたい回なのです。

 

 しかも、ただ過去の映像で終わるのではなく、きちんと未確認生命体第25号(メ・ガドラ・ダ)が猛威を奮います。六時間で72人を殺害することをバラのタトゥーの女が口にしていましたが、これ単純計算で一時間12人。他の未確認生命体がそれなりの日数をもらっているのに対して、かなりタイトです。

 おまけにクウガとの戦闘は同日の昼間(読み取れる限り午後3時)から夕方(7時ごろ)までぶっ通しで動き続けていることも踏まえると、相当なタフガイ。クウガのフォームチェンジへの動きを察知すると妨害も行い、純粋な戦闘センスの高さを感じます。何より本人が誇る「傷の数」が、強さの証明。美学を感じますな。

 

 でもね、一番に語りたいのは、五代さんの表情なのよ。

 

 そんな強敵を前に、文字通りに命懸けの戦いを繰り広げなくてはいけない。変身直前の表情も、仮面の下から漏れる切迫する息も、まさしく本物で本気のそれ。これぞ『クウガ』という作品ならではの味わい。

 

 いつもは笑顔の五代さんが、戦いの後は一瞬だけでも「真顔」だったり「顔を見せない」だったりと、あの笑顔が戻るまでに間がある感じで。

 今回は特に「切ない」表情。

 

 勝ったけれど。相手を傷つけ、命を奪う選択しかないことに、どこか悲しみを抱いているように感じるのは私だけでしょうか。少なくとも「好きになれないんだよな」と戦いの後の拳を見つめた彼だからこそ、あの切なげな視線で斃した相手の燃えていく様を見つめていたのかなとも。

 

 嫌なら逃げてもいい。警察官でも何でもない、一般市民の冒険家ですから、責任も義務もない。ともすれば「未確認生命体だから!」と守っていたはずの人間たちから攻撃されることだってある。

 

 それでも戦うのは、五代雄介という人が「みんなの笑顔」を大事にする人だから。

 

 恩師との約束で覚えてきた2000もの技は、全て近くにいる誰かを笑顔にする為。自分が苦しい時でも誰かの笑顔のために頑張れるという理想を教わって、実践し続けてきた彼だからこそみんな引き込まれるし、信じてしまいたくなる。

 涙する人を見たときに悟ったあるべき強さ。自分にできることをしたいと願う優しさ。守りたい人たちの笑顔を喜ぶ心の清らかさ。

 そんな彼だからこそ、クウガでいられたのかもしれません。精神論なところではありますが、あれだけの力を突然手にして、あんな恐ろしい敵と対峙する以上、心が傷ついたり壊れてしまったりしても不思議はないはず。そばにいる誰かには笑って接したいとする彼の強さが、戦士クウガたり得たのかもしれません。

 

 一応、弁明しておきますが警察が弱いんじゃないんです。古代から蘇ったグロンギ族が強すぎるだけ。近距離で撃った拳銃が意味をなさず、ただ投げ飛ばすという行為だけで刑事が再起不能にされる。個体ごとに模した生物の特性を活用して襲ってくる上、行動原理がわからない警察がその場その場で対応できる範疇は簡単に越えているであろう、そんな殺戮集団に。襲われるのは警察だけではなく、何の罪もない一般の人々も同様に標的。

 

 いつ、どこから狙ってくるかもわからない怪物。ゲリラ的なテロ攻撃、とでも置き換えればその恐怖が伝わるでしょうか。ヒーローものはいつもそうだろと言われれば否定はしませんが、現実にそれが起こったらどうかを想像できればこの意味はわかっていただけるはず。実際、テロそのものは今もどこかしらで起こっていますしね……

 

 脱線失礼。

 

 また、前にも書いたかもしれませんが。五代さんの妹であるみのり先生の一言がまた深い。

 

「いい人でいてほしいよね、ずっと」

 

 たくさんの人が犠牲となる殺戮に、兄は敢然と立ち向かっている。けれど、いつまで続くのか終わりが見えない恐怖は消えず。兄は誕生日さえ忘れて戦いに臨んでいる始末。下手をすれば本当に、週刊誌が取り上げるように「闘争本能」に飲み込まれていくのではないか、という恐れだってあるはずで……(視聴者的には椿先生が口にした「戦うためだけの生物兵器」という言葉が刺さってくるところ)

 

 それでも、信じたい。

 子どもたちがくれたお守りに瞳を輝かせる彼は、そんな殺人マシンになんかならないと。誰かの笑顔のためと口にしてくれる彼が、ずっと「いい人」でいてくれることを。

 

 五代兄妹、尊さの極みやな……!

 

 だいぶ雑な雑感でしたが、今回はここまで。

 え、EPISODE18はどうするか? 実はその後のEPISODE19、20とハッピーセットがいいかなって思いまして。今までの2話で一つのエピソードというスタイルにオマケの一編という感じだと思うので。

 

 ではでは、今回はこの辺で!

 こんなところまで読んでくださり、ありがとうございました。(*^^*)b