とある晴れた休日に都立小金井公園内に江戸東京博物館の分館として設けられた野外博物館へ行ってきました。一度は行ってみたいと思い、ようやく願いが叶いました。

 江戸東京たてもの園は、江戸東京の歴史的建造物を都内各地から移築、復元をして展示しているので歴史的建造物の建築好きの方々には見応えがありますよ。30の建築物があるので、追々紹介していきます。続けてだと飽きられるからね・・・(笑)

 

たてもの園前広場

まずは建物館正面のビジターセンターから入場します。

 このビジターセンターも歴史的建造物で、旧光華殿(C-1)。1940年(昭和15年)に「紀元二千六百年記念式典」の仮設式殿として皇居の宮城外苑に造営されたのですが、式典終了後の1941年(昭和16年)8月にこの場所へ移築されたのだそうです。 因みに紀元二千六百年記念式典とは神武天皇即位紀元2600年を祝った行事なのですよ。

 

1940年当時の旧光華殿

 さて、西ゾーン、センターゾーン、東ゾーンの3エリアに分かれていますので、まずはセンターゾーンから紹介していきますね。

 エントランス広場を抜けてまず最初に訪れたのは、意外に皆さんスル~してしまう歴史的建造物から・・・

 

旧自証院霊屋(C-2)

 

江戸初期の1652年(慶安5年)、三代将軍・徳川家光の側室、自証院(お振りの方)を祀った霊廟建築なのです。東京都指定有形文化財

そうそう、霊廟とは実在した人物を祀る宗教施設のことで、日光東照宮、上野東照宮、仙台の瑞鳳殿などが有名ですよね。

自証院の名は、お振りの方の法名「自証院殿光山暁桂大姉(じしょういんでんこうざんぎょうけいだいし)」に因み、家光の息女で尾張徳川家に入輿した千代姫の発願により、千代姫の生母であるお振りの方を祀る霊廟が建てられたのですよ。

 

 1652年(慶安5年)の創建棟札には「大工甲良豊前守宗清(こうらぶぜんのかみむねきよ)」とあり、この建物を担当したのは、幕府作事方大棟梁を務めた甲良家であることが分かっているのだそうですよ。

 入母屋造りの銅板葺きで、方三間(間口、奥行きとも柱間が3つあります)、正面中央一間の屋根を手前に葺き下ろし、向拝(参詣の礼拝のための空間)となっているのです。柱の上だけでなく柱間にも組物を配する「詰め組」という手法を施し、正面、側面の桟唐戸(桟を縦横に組んだ装飾的な扉)とともに、鎌倉時代の様式、禅宗様式の影響を受けているようです。

 なんといっても細部の緻密な彫刻に極彩色や金箔、黒漆に彩られた装飾が見どころですよ。

 

 将軍夫人廟同様にほとんど現存しない側室の霊屋として貴重な建物なので、一度見る価値ありです。とにかく他の建物に向かう方がほとんどなので、ゆっくり見ることが出来ますよ。よく霊屋には莫(バク)の装飾が施されているのですが、この霊屋は象が施されているところも見どころですよ!

 

追伸、自証院霊屋の隣には・・・

 

左から宝篋印塔、五輪塔、五輪塔、五輪塔、寛永寺灯籠

 

次回は、2.26事件の舞台にもなった政治家の家を紹介しますね。