1990年版、つまり東北百名山の初版に収録されていた白岩岳に登ってきました。
2000年版、2010年版では外されてしまった山なので現在どうなっているのか、少々不安を抱えながらの挑戦です。
なにせ東北百名山といえば、かなり荒れてる山も掲載されていたりしますので。

実際、アプローチの林道が崩壊していてかなり手前から歩かざるを得なくなり、一抹の不安を抱えながらの出発となりました。
さて、元東北百名山の山白岩岳、いったいどんな山なのでしょうか。




林道の途中に車をデポ。
車を降りた途端、たくさんの羽虫にまとわりつかれ今季初の蚊取り線香の出番となった。
お茶「こんなところからスタートです」
ペンギン「行くぜ!」



なぜこんな中途半端なところからスタートしたかというと林道の路肩が決壊していたからなのだ。
ここはギリギリ通過できそうな気もするが…



すぐに致命的な崩壊が現れる。
下手に突入してしまうと転回する場所にも事欠くので、一度目の崩壊地の手前に車を駐めたほうが無難だ。
ペンギン「無理したらあかんで」



二つ目の崩壊地は徒歩ならギリギリ通行可能。
しかし雨が降ったりして地盤が緩むとどうなることか。
天気が悪い日は入山は控えたほうが良さそうだ。



しばらく進むと林道は二手に分岐する。
半分藪に埋もれた道標が白岩岳は左手へ進むことを教えてくれていた。
橋を渡りさらに進む。



崩壊している場所以外はよく整備されたフラットな林道だ。
車で入ってこれないのが惜しい。



終点近くになって、また崩壊地が現れた。
比較的規模の大きい崩壊地は三ヶ所。
さて、修復されるだろうか?
林業関係のニーズがあれば早々に復旧されるだろうが、このまま車両通行止めになるかもねぇ…。



林道終点までやってきた。
ここには広い駐車スペースがある。
本来はここまで車で来れるはずだった。
ペンギン「片道30分のアルバイトっていうところだっぺ」



お茶「では行きますか!」
ペンギン「なんか藪っぽい…?」
林道は立派だったが登山口は藪に埋もれつつあるように見える。
過去の経験から、ちょっと嫌な予感がするのだが…



しかし、入山してみると思いの外きれいな登山道でホッとした。
どうも秋田県は林道は立派だが登山道は…という場所が多いような気がする。
今回もそのパターンかと身構えてしまった。



とはいえ入山する人は少なそう。
頼りない細道が続く。



そんな奥の細道に似つかわしくない立派な丸太橋が現れた。
まるで遊歩道にでも設置されるような代物だ。



どうやら中腹域にはかなり大掛かりな伐採作業の手が入っているようだ。
当然、登山口周辺より人が入ってきているため踏み跡も濃い。



分岐を示す標識が地面に落ちていた。
朽ちかけていて文字の判別も難しい。



…どこに道があるというのだ?
ペンギン「旧道って書いてあるっぺよ」
お茶「これじゃ旧道じゃなくて廃道だよ」
地図上にも道の表記はなく、この道標が何を指しているのか、まったく不明である。



伐採地で一度は明瞭になった登山道だが、先へ進むほどに再び細くなっていく。
標高1000m付近からは尾根の南側をトラバースしていくのだが、これが滑りやすい木の根&泥道だ。
滑落しないように気をつけよう。



周囲の木々が深緑から新緑に変わってきた。
沢筋にも残雪が見える。



稜線に出ると矮化で木々の背丈が低くなり日当たりが良くなる。
当然、下草の勢いが増してきて両脇から顔をひっぱたかれるようになってきた。
ペンギン「…」
ツートンの表情も曇っていく…。



ふいに視界が開けた。
行太沢展望台と呼ばれる場所まで来たようだ。
ここからは秋田駒や岩手山を見ることができる。



一月ほど前に登った大荒沢岳や羽後朝日岳。
すっかり雪も溶けて緑色になっている。
ペンギン「一月前は真っ白だったのにね」
お茶「あっという間に雪解けしたね。ちょっと明日が心配…」



展望所を過ぎると道はさらに藪っぽくなっていく…。
雪の下敷きになっていた笹が起き上がったばかりだからこんな感じなのだと思いたい…。



それが証拠に雪が残っている場所は比較的マシな状態なのだ。
ペンギン「どっちも大差ないっぺ」



お茶「着いた! 山頂だ! 白岩岳、登ったどー!」
ペンギン「…やったー(棒)」
お茶「なんでそんなにテンション低いのよ?」



ペンギン「だって、これだっぺよ」
お茶「…まぁね、灌木に囲まれて何も見えないね」



少し先まで進んだら展望所があったりしないだろうかと思ったが…。
回れ右だ。



山頂があまりにアレなので少し戻って行太沢展望台で休憩することにした。
ペンギン「お昼食べよう♪」



お茶「お、良く見たら田沢湖も見えているでないの」
ペンギン「田沢湖が見えると秋田に来た感じがするっぺ♪」
山頂はちょっと残念な感じだったが、ここからの展望で満足した。
さぁ、あとは安全に下山しよう。



下山途中にキビタキに出会った。
ペンギン「かわいいっぺ♪」



足元には美郷町。
林道でだいぶ谷の奥まで入り込んだ気になっていたが意外と里が近い。



トラバース地帯は下りではより慎重に。
落ち葉や泥で滑るので滑落注意だ。



伐採地では作業道に入りこまないように注意しなければならない。
登山道とは別の場所から上がってきているものあるようで道が錯綜している。
ここなんか右に行きたくなるが正解は左手に登り返しとなる。



ここもまっすぐ行きたくなるが、左手に折れて草むらの中に入っていくのが正解だ。
ペンギン「まったく道だとわからんっぺ」
作業道のほうが踏み跡が濃かったりするので油断ならない。



枝道に惑わされつつも無事に駐車場まで戻ってきた。
ペンギン「生還!」



林道を歩いて車まで戻れば、本日の行程は終了である。
ペンギン「お疲れさまでした!」



マイヅルソウ



サンカヨウ



スミレ



ツバメオモト



イワカガミ



カタクリ



ショウジョウバカマ



ノウゴウイチゴ


10年以上計画を温めまくって、ようやく挑戦した白岩岳。
アプローチの林道が途中で崩壊していたりと先行き不安な中でスタートとなりました。
しかし崩壊している部分以外は、かなりしっかり整備された林道で終点までは難なく進むことができました。
また、入口こそ踏み跡少なく草に埋もれた登山道でしたが、入山してしまえばよく踏まれた歩きやすい道で拍子抜けしたほどです。

深緑&新緑の森の中は気持ちが良く、心身が浄化されます。
様々な花が目を楽しませてくれましたし、多くの野鳥の声が聞こえてきて楽しかったです。
姿を見ることができたのはウグイスとキビタキだけでしたが、コルリ・オオルリ・カッコウ・コマドリなどなど囀りが美しい鳥のオンパレードで聞いているだけで幸せな気分になりました。

山頂からの展望が無いのがこの山の残念なところ。
東北百名山から除外されてしまったのもそのへんが原因かもしれません。
和賀岳に連なる山なのに和賀岳が見えない…とかね。

家から近い方の部類の山なのに後回しにしまくって十数年。
ようやく登ることができて、ひとつ宿題を終えたような気持ちになりました。
東北百名山、完登が見えてきましたよ!

おしまい


詳しいルートなどについてはヤマレコにて