庄内遠征三日目は霊場羽黒山に詣でてきました。
登山道ではなく、あくまでも参道なのですが、標高差400m強・2446段の石段が参拝者を待ち受けています。
スペックだけ見ると、これはもう立派な登山なのではないかと。

日本三大霊場にして修験の総本山羽黒山。
いったいどんな山なのでしょうか。



人混みが苦手なので、ド早朝に羽黒山の門前にやってきた我々。
山門に一番近い駐車場に悠々と駐めることができた。
しかし我々が下山してきた時間には(それでも午前中の早い時間)あっさり満車になっていて「さすが有名観光地」の感を強くする。
ただ、多少歩くことを厭わなければ駐車場はあちこちに豊富にあるのでそんなに心配しなくてよさそう。
基本的に全て無料なようだ。



さて、修行に出発するか!
ペンギン「観光だっぺ♪」



随神門をくぐり出羽三山の御神域へ、いざ!



いきなり下り坂だった~!
登る気満々だったのに。
そう、随神門をくぐった先は祓川に向かって大きく下っていくのだった。



沿道には様々な神々のお社が立ち並ぶ。
丁寧にお参りしていたら、それだけで日が暮れそうな勢いだ。



祓川にかかる神橋を渡る。
神聖な「お山」と俗世とを分ける結界なんだそうだ。



昔は入山する前にここで水垢離をして身を清めたという。
もちろん、今はそこまでは求められないが。



祓川の辺にある不動の滝は実は人造滝なのだそうだ。
1600年代に8kmも引水をして作った滝だという。
羽黒山の権威のすごさの一端を見る思いだ。



水垢離はしないが、この景色を見ているだけで心身が清められるような気がするな。
ペンギン「あ、キセキレイ発見♪」
お茶「野鳥にとっても住みやすい場所なのかもね」



祓川を過ぎると樹齢1000年とも言われる爺杉が出迎えてくれる。
ペンギン「立派な杉だっぺ~」



そして次に現れるのが羽黒山のシンボルの一つ五重塔だ。
杉林に佇むその姿は観光パンフレットなどで一度は目にしたことがあるはず。



五重塔は、つい最近まで足場を組んで補修作業が行われていたようだ。
今はその足場も解体され姿を見ることができる。
良いタイミングで訪れたようだ。



五重塔を過ぎると、いよいよ長い長い石段が始まる。
ペンギン「気合い入れていくっぺよ!」



2446段の石段は緩急をつけて2kmにわたって続いている。
意外に直線的に登っていくので遥か先の方まで延々と石段が続いていくのが見えてしまう。
正直、ちょっと精神的に削られる風景だ。
さすが「修行の山」だ。



長い石段の中間地点に「二の坂茶屋」という茶屋がある。
昨年まで店番をしていた名物おばあちゃんは引退してしまった。
現役のうちに会ってみたかったが間に合わなかったのが残念である。
ペンギン「早朝すぎて営業してないっぺ」
お茶「どっちにしても会えなかった!」



往時は道の両側に宿坊や寺院が立ち並んでいたという。
しかし、その殆どは今は昔の光景となった。
二の坂茶屋もそうだが、徒歩でしか来られない場所で生活するのは現代の感覚では難しい。



石段を登りきると、いよいよ本社の境内だ。
折よく日が昇ってきた。
荘厳な気配があたりに満ちる。



境内に入ると、まず目につくのは精緻な龍の彫り物を配した厳島神社だ。
なんだか竜神巡りとかいって参拝するのがブーム?だそうな。
八幡平のドラゴンアイといい、人は竜が好きだな。
ペンギン「ドラゴンアイは関係なくね?」



境内に人気はまばらだ。
ゆっくりとお参りできそう。
ペンギン「貸し切り貸し切り♪」
お茶「神様もゆっくり願い事を聞いてくれそうだよね」
ニヒヒ「お前らは日頃の心がけが悪いから願いなど聞かん」
お茶ペンギン「!?」



まずは三神合祭殿へ向かう。
GWに大勢の参拝客があるのを予想してなのか仮の足場が組まれている。
それほど大勢の人出が予想されている場所を独り占めとはなかなか気分が良いではないか。



合祭殿を詣でた後は境内に点在する諸神へもご挨拶に伺おう。
このお社は健脚にご利益があるそうなので特に念入りにお参りする。



境内には松尾芭蕉像がある。
奥の細道で立ち寄ったとのこと。
芭蕉は羽黒山だけでなく月山・湯殿山へも縦走している。
当時の記録から推測するとかなりのハイペースで歩いたようである。
昔の人は皆健脚だったのだ。



一応、境内をぐるっと見て回ったが、山名標識などは見当たらなかった。
それでは、ということで本殿と鏡池をバックに記念写真を撮影。
ペンギン「羽黒山、登ったどー」



静寂の羽黒山詣でだったが、下山する頃に清掃奉仕の作業が始まった。
落ち葉払いのブロワーの轟音の中を下る。
朝の静けさが嘘のようだった。
帰りは野鳥観察でもしながらゆっくり下るつもりだったが、騒音とホコリに耐えきれず駆け下りる。



あ、そういえば最後に登りがあるんだった…。
「あとは下るだけ」のつもりになっていたので、最後に少しだけ精神にダメージを受ける。
ペンギン「山屋のくせに登り返しくらいでダメージ受けるなだっぺ」



無事下山!
ペンギン「お疲れさまでした! 御利益あるかな♪」


初めて登った霊場羽黒山。
門前はTHE観光地という感じでしたが、山門を一歩くぐると雰囲気は一変。
荘厳な雰囲気の中で、杉並木・石段・数々のお社、そして五重塔と羽黒山の見どころを見ながら歩くことができます。
山門から本殿までは一時間ほど山道を歩かねばならないのでかなりいい運動になりました。

まだ観光客が来ていない早朝に詣でたので、静寂の中参拝できてよかったです。
大勢の観光客とともにゾロゾロと石段を歩いたのでは印象が全然違うでしょうから。

ただ、二の坂茶屋で名物の力餅を食べられなかったは心残りでした。
羽黒山を訪れるきっかけの一つが、この茶屋の名物おばあちゃんが引退するというドキュメンタリーを見たのがきっかけだったので…。
ペンギン「すっかり食べる気でいたのに、どうしてくれるっぺよ」

おしまい


詳しいルートなどについてはヤマレコにて